機密抹消サービスの選定軸に「CO2排出減」。オフィスでできるカーボンニュートラルに向けた取り組み
これまで、機密抹消サービスの選定軸にはセキュリティや手間、コストといった観点が優先されていましたが、昨今の世界的なカーボンニュートラルに向けた取り組みの加速を受け、「CO2削減に貢献しているかどうか」が重要視されるようになってきています。
そこで今回は、機密抹消処理サービスにおけるカーボン・オフセットについてご紹介します。
機密抹消処理でCO2排出削減を実現するには
日本では、2020年10月に当時の菅政権が2050年までにカーボンニュートラルを目指すことを宣言しました。その後、企業や自治体で2050年カーボンニュートラル達成や2030年度の温室効果ガス削減目標に向けた取り組みが進んでいます。
古くから、多くの企業でペーパーレス化の推進や電子化導入などによって「ごみの減量」や「紙削減」に取り組んでいますが、オフィスにおけるサステナビリティ活動をさらに促進するためにもう一歩踏み込んだアクションを実行したいと考える企業は多いのではないでしょうか。そこで今CO2削減の観点から注目されているのが、機密文書リサイクルサービスです。
機密文書リサイクルサービスは、CO2排出を抑制した形で溶解処理など行い古紙として再利用するというもので、環境配慮を重視した機密抹消を行いたい企業にとっては最適な方法だと言えます。
また、昨今では機密文書リサイクルサービスにカーボンオフセットを組み込んだプランが登場し、より環境に配慮した機密抹消処理の仕組みが進展しています。
カーボン・オフセットの手法
カーボンオフセットとは、日常生活や企業活動において削減努力をしても削減することができないCO2等の温室効果ガスの排出について、排出量に見合った温室効果ガスの削減活動に投資することなどにより間接的に排出される温室効果ガスを相殺するという考え方です。
※参考:環境省
カーボンオフセットはCO2排出削減量を数値化することができるため、実質的に環境負荷軽減を実現するだけでなく、企業のイメージ向上やESG活動としても役立つといったメリットが期待できます。
カーボンオフセットには下記のような手法が存在します。
- ・オフセット製品・サービス
- ・会議やイベントによるオフセット
- ・自己活動によるオフセット
- ・クレジット付の製品やサービスによるオフセット
- ・寄付型オフセット
昨今では機密抹消サービスにカーボン・オフセットが付帯しているサービスが増えてきています。
カーボン・オフセット付き機密抹消サービス、3つの事業例
ここでは、カーボンオフセット付き機密抹消サービスの事業例を3つご紹介します。カーボンオフセットが組み込まれている点に加え、セキュリティ面やリサイクルといった点を中心にサービスを比較検討すると良いでしょう。
日本パープル「保護くん」
ポイント1:利用は簡単
廃棄したい文書を専用ボックスに投入していき、満杯になったら回収を依頼するシステム。センサーにより自動で検知して回収依頼してくれるサービスもあります。クリップ・ホッチキス・ファイルがついた文書もそのまま投函できます。
ポイント2:環境への配慮
機密文書は、紙資源としてリサイクルを行っているほか、森林伐採抑止量やCO2排出抑止量の目安を記載した書類を、抹消処理証明書と合わせて発行しています。
また、カーボンオフセットを組み込んで、文書処理の際に発生するCO2排出をゼロとする「保護くんZERO」も好評です。
ポイント3:セキュリティ対策
輸送車には特殊警報機と位置確認端末装置を装備し、紛失・盗難などのリスクを徹底排除しています。輸送〜処理まで情報セキュリティ教育を受けた自社のスタッフが担当しており、情報漏えい防止に取り組んでいます。
タカハ「機密文書リサイクル&CO2オフセット」
ポイント1:電話一本で一箱から引き取り可能
電話一本で、引き取りor持ち込みが可能。一箱からでも依頼できます。(対応エリア:長野県・岐阜県・愛知県)
ポイント2:環境への配慮
細断時とトラックによる文書輸送時に排出されるCO2と同量のカーボンオフセットに取り組んでいます。処理後の機密文書は製紙材料としてトイレットペーパーや廃油処理シート等にリサイクルを行っています。
ポイント3:セキュリティ対策
機密保持契約や破砕処理証明書の発行を行い、機密保持を徹底しています。処理センターでは入退室は番号と指紋認証の電子錠を導入し、関係者以外の立ち入りができないようセキュリティ対策を講じています。
斎藤英次商店本社「ハコメル・ダイレクト・ゼロ」
ポイント1:選べる3つのプラン
直接回収の「ハコメル・ダイレクト」、小口スポット回収の「ハコメル・ミニ」、持ち込み専用の「ハコメル・デポット」の3種類のプランがあり、排出数量や予算コストに合わせて選択できます。
ポイント2:環境への配慮
「ハコメル・ダイレクト」にカーボンオフセットを組み込むことが可能です。サービス利用後は「オフセット通知書」を発行し、CO2排出・削減量を可視化しています。処理後の機密文書はトイレットペーパーとして100%リサイクルを行っています。
ポイント3:セキュリティ対策
鍵付きの車輛・倉庫で輸送・保管し、回収から溶解処理まで一度も開封することなく処理することで、情報漏えい防止を徹底しています。
保護くんZEROの導入事例:株式会社サイバーエージェント
インターネット広告事業、ゲーム事業、新しい未来のテレビ「ABEMA」などのメディア事業を中心に業界をけん引する同社は、2014年に「保護くん」を導入開始。2021年に機密処理の依頼を自動化できる「Smart保護くん」へアップグレードしたのち、カーボンオフセット付き「保護くんZERO」の導入に切り替えました。
導入の決め手は、社員に負担をかけずに機密処理とCO2削減が実現できる点でした。また、2021年度は年間902.84本相当の森林伐採抑制と、約26010.7kgの二酸化炭素排出抑制に貢献し、導入後の効果を実感しているようです。