2023年にオフィス移転した3つの企業事例から考える、新しいオフィスのカタチ
コロナ禍以降、テレワークやリモートワークを行う企業が増え、場所(オフィス)にとらわれない自由な働き方が広く浸透しました。オフィスの再定義を図る動きは現在進行形で続いていると言えるでしょう。本記事では、2023年にオフィスを移転した最新の企業事例をもとに新しいオフィスのあり方のアップデートを試みます。
新しいオフィスのあり方、2つの特徴
新しいオフィスのあり方の特徴として、次の2つが挙げられるでしょう。
1.コミュニケーションによるチームビルディングを図り、アイデアを創出する場所
テレワークやリモートワークの影響で課題となったのが、社員間のコミュニケーション不足です。チャットツールなどを通じたやり取りでは必要以上のコミュニケーションが図りづらく、対面でのコミュニケーションの重要性を実感した人も多かったのではないでしょうか。オフィスで発生する「偶発的な雑談」や「何気ない会話」は、社内を活性化しチームの一体感を高める役割を担っていることに改めて気付かされました。
また、コミュニケーションにはアイデアやインスピレーションを得る機能があります。一人で仕事に煮詰まってしまった時、気軽に相談できる相手が近くにいることは課題解決への近道となるでしょう。一見業務に不要な行為に見える他部署とのコミュニケーションも、情報共有や連携がスムーズになることで、結果的に会社全体として生産性の向上に繋がる大切な要素であると言えます。
2.仕事のシーンに応じて場所を決める
テレワークやリモートワーク、そして出社型と組み合わせたハイブリッド型ワークなど、様々なワークスタイルが登場する中、次に注目されているのがABW(Activity Based Working:アクティビティ ベースド ワーキング)という概念です。ABWとは、業務内容によって働く場所を自由に選択できるワークスタイルのことで、フリーアドレス制とは違ってオフィスに限らず自宅やシェアオフィス、カフェなど多様な選択肢を持つことができます。
また、オフィスの中にも個人作業用・ミーティング用・WEB会議用・雑談用のスペースといった具合に作業別の空間を設け、社員のワーク・エンゲージメントを高める工夫が求められます。
2023年に移転したオフィスの例
コロナ禍以降多くの企業がオフィス移転を行っていますが、今回は2023年に絞って企業移転事例をご紹介します。
森トラスト株式会社
総合不動産ディベロッパーの森トラスト株式会社は、「社員の目的地となるオフィス」をコンセプトに、2023年5月10日に本社を移転しました。ABWを採用しつつも社員の出社意欲を高めるために、最新のトレンドやホテルさながらのデザインを取り込み、業務内容に応じた空間を創出しています。旧オフィスでは5フロアあった執務空間を1フロアに集約したものの、フロアには可能な限り間仕切り壁を立てず「可変性」を持たせた設計となっています。さらに、「BASE」という部署ごとの拠点を設け、チームメンバーが自然と集まりやすい空間作りにも配慮しています。移転から約2ヶ月に行った社内アンケートでは、「85%の部署で他部署とのコミュニケーションが増加」するなど、結果は良好で新オフィスが早くも社員のエンゲージメント向上に寄与しているようです。
参考:「森トラストの本社移転将来にわたり社員の「目的地」となるオフィスを実現」森トラスト株式会社プレスリリース(2023年7月11日)
株式会社オークファン
小売・流通業向けの在庫流動化ソリューションを提供する株式会社オークファンは、2023年6月1日にオフィスのコスト見直しと、社員のエンゲージメント向上を目的に、本社を縮小移転しました。出社とリモートワークを組み合わせたハイブリット型ワークを導入している同社は、今後も同様の勤務形態を継続する意向から、オフィス面積を縮小しコストカットを実現。同時に社員の働きやすさを向上するため、新オフィスでは業務内容に応じた作業空間を設け、その時の気分や作業に合わせて働く場所を自由に選択できる環境を整備しました。さらに、カフェスペースや女性用休憩スペースといった業務以外の時間も過ごしやすいよう配慮されています。
参考:「【移転完了のお知らせ】 新オフィスの写真公開! コミュニケーションの活性化と効率的な働き方を実現」株式会社オークファン プレスリリース(2023年6月22日)
クロノス株式会社
勤怠管理システム・タイムレコーダーの開発及び販売事業を行うクロノス株式会社は2023年6月19日、増加した社員への対応とさらなる事業拡大のために、本社オフィスを拡張移転しました。新オフィスは「働く場所から、働きたくなる場所へ。」をコンセプトに、目的に応じた作業スペースやコミュニケーション促進のためのオープンスペースを新設。オープンスペースにはクライミングとパターグリーンが設置され、来客でも利用可能となっています。会議室・テレカンブースでは、利用場面に応じた様々なタイプの会議室を拡充しているほか、WEB会議・WEBプレゼン用の「on-studio(オンスタジオ)」を導入したスタジオを新設し、社員の生産性向上に寄与しています。
参考:「クロノス、本社オフィス移転のお知らせ」クロノス株式会社(2023年6月19日プレスリリース/PR Times )
新しいオフィスを作るには
上記事例から、コロナ以後における新オフィスは、単純に従来のオフィスを縮小・拡大しているだけではなく、オフィスの概念そのものが変わってきていることが分かります。いずれの企業もオフィスは作業場ではなく「ワーク・エンゲージメントを高める場所」としての役割を担っており、一人で集中したい場合や誰かと雑談したい場合など、オフィスに出社すれば希望の働き方が叶うという位置づけに変わってきているのかもしれません。
時代に適した新しいオフィスを作るためには、企業側のメリットを重視した従来のオフィスから、社員のワーク・エンゲージメント向上にフォーカスした新しい形態に転換する必要があります。オフィス移転はそのための代表的な方法ですが、コスト面の問題から難しい場合もあるでしょう。そのような場合は、オフィスのレイアウトを変更するだけでも環境を変えることが可能です。
レイアウト変更や移転を行う際、まずは、オフィス整理を行う必要があります。社内には、書類や備品といった日常で使用するもの以外に、年に数回しか使用しない販促品や大型の備品などがあります。そのような物品を保管するためだけにオフィスを構えるのは、企業のコストパフォーマンスを下げてしまうため、外部のストックルームや貸倉庫を利用してみるのも一案です。オフィスの備品整理ができれば、空間の有効活用にもなります。
最後に、数あるサービスの中からおすすめの保管サービスをご紹介します。
宅配型ストックルームサービス「Stock Mamoru」/日本パープル
ストックマモルは、配送してくれるトランクルームとして、什器を集荷から保管、Web上でデータまで管理してくれるサービスです。保管が不要になったら、廃棄も依頼できます。
さらに、専用保管庫は入館制限があり24時間監視体制になっているなど、運営会社である株式会社日本パープルの厳重なセキュリティ対策は多くの法人から支持されています。
荷物の預け入れから専門スタッフが対応してくれるため、社内の負担をほぼかけずに導入できる点も人気の理由の一つです。
オフィス整理に関するコンサルティングサービスも行っており、今後のオフィスのあり方についてお悩みの担当者は一度相談してみてはいかがでしょうか。