信頼の失墜を防げる!企業におけるISMSの認証取得方法とメリットとは
テクノロジーの進歩により、情報のデジタル化が進む今、紙のみならず、デジタルでも情報漏洩のリスクが一層増しています。このような状況で、大切になってくるのが情報漏洩のリスクマネジメント。
顧客情報や企業の機密情報を適切に扱わなければ、思わぬ損害を被る時代となっています。そこで、それを対外的に示す手段として広がっているのが、ISMS。今回は、情報セキュリティの大切さに触れつつ、ISMS認証取得のメリットを紹介します。
そもそもISMSって何?
ISMSとは、Information Security Management Systemの略語。企業や機関など様々な組織が、自ら維持・達成すべき情報セキュリティレベルを決め、情報漏洩防止のために、システムの計画、実行、評価、改善を行うことを言います。つまりは、組織の情報を守るための包括的な取り組みです。
これと似たものに、個人情報の漏洩に特化した「プライバシーマーク」があります。詳しくは「こちら」の記事をご覧ください。
ISMS評価の取得フロー
このISMSには、それが本当にきちんと運用されているかを審査・認証する制度があります。それが、ISMS適合性評価制度。この審査を通過すると、組織は晴れてISMSの健全性を担保されたことになるのです。審査は、大きく3つのステップから成ります。
1.承認機関の選択・申請
情報セキュリティが適正であるとの評価を受けるためには、承認機関への申請が必要です。
まずは、複数ある承認機関の中から、自社の業務内容に最も適した承認機関を選定しましょう。選定したら「適合性の評価を受ける」という意思表示をし、申請を完了させます。
2.料金の見積もり・書類の提出
申請した内容で承認機関が評価することを受け付けたら、次に必要なのは料金の見積もり。
基本的にはすべての業種の組織が受け付けてもらえますが、稀に「あまりに専門的な組織で、評価することができない」という旨の返答をもらうこともあります。そう言った場合はこの時点で承認機関の選択からやり直さなければなりません。
料金設定は、評価を希望する企業の規模や、内容によってまちまち。提示された料金を申請側が承諾すれば、各種必要書類の提出に移ります。書類を提出し受理されると、いよいよ審査の段階へ。
3.審査の開始
審査期間は最短でも3~4か月間。すぐに済むものではありません。審査は、審査員の資格を持った人が執り行います。
「晴れて審査が終了し、適正なセキュリティーシステムであるという評価を受けると、JIPDECという承認機関を統括している組織へと通達が行きます。このタイムラグにより、審査が通ったとしても、それを対外的に公開できるのは最長で1か月後。意外と時間がかかってしまうのです。
企業における取得のメリット
ISMS適合性評価制度の認証を取得するメリットは主に2つに分けられます。
対内的メリット
この制度で評価を受け、ISMSが適正であるという認証を受けるというということは、その組織の情報セキュリティが高いことを意味します。したがって、サイバー攻撃やウイルス、ハッキングなどによる情報漏洩がなされにくいということを第三者に証明されたという安心感が得られるのです。
もし、この制度で適正であるという評価を受けられなければ、常に情報漏洩の脅威、およびそれにより発生する損害に頭を悩まされるリスクが高まります。
対外的メリット
評価を受けることによる最大のメリットは、外部に「自分の組織は情報セキュリティが高い」ということを示せる点です。情報セキュリティが高いということは、機密情報が外に漏れ出るリスクが低いということ。その組織の取引相手にとっては、外に公開したくない情報を提示するハードルがグッと低くなります。
つまり、取引相手と円滑なコミュニケーションが促され、協力関係が築きやすくなるといえるのではないでしょうか。ISMSが健全であるという安心感から、さらにその組織の取引を拡大させるチャンスとなりうるのです。
情報漏洩の被害にあう前に対策を
サイバー攻撃、インターネットウイルス、ハッキング。時が進むにつれて、情報を盗み取ろうとする集団、手段は多様化、活発化の一途をたどっています。それに伴い、被害額も年々右肩上がり。IBMの報告によると、被害にあった企業の平均損害額は4億円程度。顧客情報を抱え込んでいるような大きな企業になると、その被害額は何百億円にも上ります。
ISMSは、システムの運営を継続的に行うことを含むため、コストはかかります。しかしながら、それ以上に情報漏洩の損害額は大きいかもしれません。これから企業はさらに情報に対するセキュリティに神経をとがらせるべきといえるでしょう。