2016年11月21日文書管理
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1年間の給与が確定したら、すぐ取り組む!源泉徴収票を発行するプロセスと提出先

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会社員、個人事業主の3大納税イベントが、「源泉徴収」「年末調整」「確定申告」。このうち、会社にとって最も負担になるのが、源泉徴収です。なぜなら、源泉徴収は企業が行い、その詳細を源泉徴収票として従業員に発行する業務が生じるからです。

源泉徴収票の発行には、従業員の一年間分の正確な給与が必要となりますが、それが確定するのが、12月。そして、12月から1月の間にこれを反映させた源泉徴収票を従業員全員分、作成しなければなりません。今回は、源泉徴収の発行プロセスと、その提出先についておさらいします。

そもそも源泉徴収って?

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社会人であればだれもが知っている源泉徴収ですが、その意味と役割をおさらいします。源泉徴収制度とは、企業が従業員に代わって、給与から所得税分を差し引き国に納める制度のことです。

日本においては、「申告納税方式」がとられています。これは、国民が給与として得たお金の所得税分を、自己申告によって納める方式のことです。しかし、税制や計算方法は難解で、すべての人が正確に国が定めた要求にこたえられるとは限りません。そこで、従業員に関しては、企業が従業員に代わって所得税の納税をするのです。これが、給与から天引きして納税する、いわゆる源泉徴収。経理部が源泉徴収制度のために手を煩わせるのは、それが社会の利益に資するからだということがわかります。

源泉徴収票の発行手順

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源泉徴収票を発行する手順は大きく分けて3つです。

1.源泉徴収票の入手

源泉徴収票の入手経路は主に2つ。1つ目は、国税庁のホームページからダウンロードする方法です。最もオフィシャルな形式ですが、これは手書きでの記入を前提としています。2つ目は、オンラインに上がっているエクセル形式のものを利用する方法です。こちらはエクセルに入力することで作成できるので、大変便利です。

2.源泉徴収票の記入

源泉徴収票は、基本的に「源泉徴収簿」をもとに記入していきます。源泉徴収簿とは、従業員の毎月の給与、課税対象額などの記録しておくもの。源泉徴収票の記入や、年末調整の際に、業務を効率的に行うことを目的として作られます。源泉徴収票におけるほぼすべての項目が、この源泉徴収簿の集計結果の転記で完了。ちなみに、作成に関して何ら法的拘束力はないため、会社によっては存在しないかもしれません。

3.源泉徴収票の提出

記入の完了した源泉徴収票の提出先は3つです。まず1つ目に、すべての給与受給者。これは、雇用形態、金額にかかわらず全員に提出することになります。つまり、パート・アルバイトのどんなに少額の給与でもこの提出の義務は発生します。

そして2つ目に、各市町村です。ただし、これは正確に言うと「給与支払報告書」という名称で、様式はほとんど一緒です。この給与支払報告書は、「住民税の確定申告」という機能を持ちます。この報告書に従って、翌年の住民税が決定されるのです。

3つ目は、税務署。提出を義務付けられている人が限定されており、法令の定める要件を満たした人のみ提出が必要となります。またその要件も、「年末調整をした人」と「年末調整をしなかった人」で異なることに注意です。

年末調整をした人の要件は、「役員であり、かつ年間給与の支払いが150万円を超える人」「従業員で、年間の給与取得が500万円を超える人」などです。一方、年末調整をしなかった人の要件は、「年収2000万円を超えたため年末調整をしなかった人」などが該当。これは国税庁ホームページに詳しく記載してあります。

源泉徴収票の再発行

「転職したけれど、年末調整のために再発行してくれないか」「紛失してしまったから、新しく作成してほしい。」源泉徴収票の交付後に、このような要望を受けたことはないでしょうか。このように、一度発行した源泉徴収票でも、従業員からの要望次第で再発行する必要が生じる可能性があります。

再発行に関して、特別な工程が追加されるということはありません。しかし、あらかじめその可能性を考慮していなければ、過去に作成した源泉徴収票の記録を破棄してしまうかもしれません。再発行の可能性がある場合、二度手間にならないために写しを保存しておくのがいいでしょう。

なお、手間がかかるからと、再発行を拒んだ場合、従業員の申し立て次第で税務署から指導が入る可能性もあるので、要注意です。

源泉徴収票の発行は、年末年始の大仕事

日本の現行法で定められた源泉徴収制度にのっとると、源泉徴収票の作成、交付の義務があるのは給与支払者、つまり企業です。従業員の数が多ければ多いほど、源泉徴収簿との照らし合わせや、記入作業など、かかる時間と手間は大きくなります。では、閑散期にこれに取り組めるかというと、そうではありません。12月分の給与額が確定し、1年間の支給額が合計されたところで初めて完成形の源泉徴収票が誕生します。

従業員の数が多いわりに、源泉徴収に人と金をかけることができないから・・・。と発行を先延ばしにしたいと思うかもしれません。しかし、これをやらないと、従業員は年末調整、確定申告などを適切に行うことができないため、混乱を招いてしまいます。

年末調整、確定申告など、源泉徴収票は複数の場面で必須となる重要な書類です。決められた期日に過不足ない書類の交付を心がけることが、会社側も従業員側も、お互いに気持ちよく働き続けることのできる職場環境作りに貢献するのではないでしょうか。

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