【事例紹介】スーパーフレックスタイム制度は従来と何が違うのか?
スーパーフレックスタイム制度は、従来のフレックスタイム制度をベースとして、より自由度を高くした働き方です。会社によって細かな規定は異なりますが、一定の条件を満たせば、時間や場所にとらわれず自由な働き方を実現できます。
今回は、スーパーフレックスタイム制度の概要や導入のポイント、実際の導入事例などを紹介します。
スーパーフレックスタイム制度とは?
従来のフレックスタイム制度は、出社する必要があるコアタイムと、自由に出社・退社できるフレキシブルタイムがあるのが一般的です。[注1]
通常勤務より自由に働けるとはいえ、コアタイムは必ず勤務しなければならないため、時間の制約を受けてしまい、制度のメリットを感じられない社員も多くいました。一方、スーパーフレックスタイム制度には、コアタイムがありません。月の最低勤務時間などの条件をクリアすれば、出社時間も退社時間もそれぞれの社員が自由に決められます。
社員同士のコミュニケーションや情報共有といった課題はありますが、より自由な働き方として、この制度を取り入れる企業も増えてきました。
制度の導入により優秀な人材を確保できる
優秀な人材の確保は、スーパーフレックスタイム制度導入による大きなメリットです。働く場所や時間を固定すると、結婚や出産、育児や介護といった理由により働けなくなる社員も多く出てきます。
少子高齢化や労働人口の減少が進んでいるため、優秀な人材確保は企業の重要な課題です。コアタイムをなくして自由な日時に出社できる環境をつくれば、多様な働き方を許容でき、人材の流出を防げるでしょう。
制度の導入により生産性の向上につながる
朝型の人も夜型の人もいるため、社員によって集中力の高い時間帯は異なります。スーパーフレックスタイム制度を導入すれば、それぞれの社員が生産性の高い時間を選んで働けるため、作業効率やクオリティの向上が期待できます。
また、家族の介護や子どもの送迎、病気による通院なども行いやすいため、ストレスなく仕事とプライベートを両立できるでしょう。
スーパーフレックスタイム制度導入の3つのポイント
スーパーフレックスタイム制度を導入する際は、次の3つのポイントに注意しましょう。
1.就業規則に記載して労使協定を締結する
スーパーフレックスタイム制度を導入するときは、まず会社の就業規則を見直し、出社時間や退社時間を各社員が自由に決められる旨を記載しましょう。
月ごとの最低勤務時間など、細かなルールについても記載します。就業規則を変更する際は、雇用者と労働者で合意して労使協定を結びましょう。労使協定の締結が完了すれば、実際に制度を導入できます。
2.休憩の取り方についても決めておく
スーパーフレックスタイム制度においても、通常勤務と同様に、勤務時間が6時間を超える場合は45分間、8時間を超える場合は1時間の休憩を取る必要があります。[注2]
時間を決めて一斉に休憩を取るのは難しいため、会社の状況に合わせて休憩時間のルールを決め、就業規則には、各社員が好きな時間に取得できる旨を記載しておきましょう。
3.社員同士のコミュニケーション手段を確保する
従来のフレックスタイム制度にはコアタイムがあるため、社員同士が自然と顔を合わせる機会がありました。しかし、スーパーフレックスタイム制度にはコアタイムがないため、ほかの社員とほとんど会わないといったケースも増えるでしょう。
仕事の進捗状況や重要事項の連絡のため、適宜オンライン会議を行う、チャットツールを導入する、といったコミュニケーション手段の確保が必要です。
スーパーフレックスタイム制度を導入している企業事例
実際にスーパーフレックスタイム制度を導入する企業も増えてきました。ここでは、3つの事例を紹介します。
1.テレワークも導入している「住友商事」
住友商事株式会社は、2018年11月からスーパーフレックスタイム制度を導入しています。元々、フレックスタイム制度を導入していましたが、コアタイムを廃止し、社員がより自由に働き方を選択できる環境を整えました。同時にテレワーク制度も採用し、在宅勤務やサテライトオフィス勤務も可能にしました。時間と場所の制約を取り払い、優秀な人材の確保や生産性の向上を目指しています。[注3]
2.部署ごとにコアタイムの有無を選択できる「ジャルパック」
株式会社ジャルパックでも、働き方改革の一環としてスーパーフレックスタイム制度を導入しています。ジャルパックでは、繁忙期の時間外労働による負担の解消が大きな課題となっていました。そこで、部署ごとにコアタイムの有無を選択できるようにして、働き方の自由度を高め、社員の健康増進や生産性の向上を狙ったのです。
さらに、在宅勤務やテレワーク、有給休暇を1時間単位で取得できる制度なども導入しており、柔軟性の高い職場といえるでしょう。[注4]
3.ウルトラフレックスタイム制度を導入している「富士ソフト」
富士ソフト株式会社は、早い時期から在宅勤務を取り入れている柔軟性の高い会社です。スーパーフレックスタイム制度だけではなく、テレワークやサテライトオフィス勤務、30分単位の有給休暇取得制度など、さまざまな取り組みをまとめて「ウルトラフレックス制度」として運用しています。
各社員にタブレットを支給してオンライン会議を行うなど、業務効率化のための多様な取り組みを続けています。[注5]
スーパーフレックスタイム制度を導入して自由な働き方を実現
スーパーフレックスタイム制は従来のフレックスタイム制度よりも柔軟な労働環境を実現でき、優秀な人材の確保や生産性の向上も期待できます。ただし、制度を導入する際は、休憩時間についての取り決めやコミュニケーション手段の確保などもしっかり行いましょう。
実際の導入事例も参考にしながら、スーパーフレックスタイム制度の導入を検討してみてください。
[注1]厚生労働省:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き[pdf]
[注2]厚生労働省:労働時間・休憩・休日関係
[注3]住友商事:テレワーク制度およびスーパーフレックス制度の導入について
[注4]ジャルパック:ジャルパック健康経営の取り組み[pdf]
[注5]週間BCN:<CASE STUDIES>富士ソフト×日本マイクロソフト 働き方の柔軟性を徹底追求した“ウルトラフレックス制度”がSurface Go の全社展開で結実