機器処分時の情報漏洩を回避する。電子廃棄物ポリシーの周知徹底を
現在、世界中で深刻になっている電子廃棄物の不適切処理が引き起こす環境問題。データ消去とモバイルデバイス診断の業界標準であるBlancco Technology Group(ブランコ・テクノロジー・グループ。以下、BLTG)は、昨年末に電子廃棄物について示唆に富む調査結果(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000070336.html)を発表しました。今回はその調査記事をもとに、電子廃棄物に関する日本企業の現状や適切な処理方法を促す仕組みについて解説します。
電子廃棄物問題の現状
国連の発表によると、2019年に世界で排出された電子廃棄物は5,360万トン。昨今ではリモートワークの流行により、会社からノートパソコンが配布され個人で在宅ワーク環境を整備する人が増え、電子デバイスの大量購入が顕在化。電子廃棄物が増加し続ける事態となりました。
またその一方で、電子デバイスに対する危機管理やリスク対策、データセキュリティへの懸念も浮き彫りになっています。不要になったパソコンなどのデータや本体の廃棄を適切に処理することは最低限の遵守事項として改めて認識されるべきと言えます。
BLTGの調査で分かったこと
それではまず、BLTGの調査内容を見ていきましょう。
調査概要
- ・調査はBlancco Technology Groupの委託を受け、Coleman Parkes Researchによって2020年9月に実施
- ・サンプルは以下のような600人の企業の意思決定者により構成
- 最高財務責任者、オペレーション責任者、データ保護責任者、ITオペレーション責任者、IT資産管理者、法務責任者、最高情報セキュリティ責任者、コンプライアンス責任者
- ・各回答者は、米国・英国・日本・ドイツ・フランスに拠点を置く従業員数5,000人以上の組織に所属している方
- ・調査対象は、政府、金融、ヘルスケア、テクノロジー、法務業界より選抜
調査結果(引用)
- ・日本のほぼすべての企業(98%)はホームオフィス環境への大規模な移行に対応する必要があると回答し、その内の79%の企業が実際に新品のノートパソコンを購入した
- ・新型コロナウイルス感染症拡大によって生じた電子廃棄物の問題に特別に対処するために、日本企業の54%が電子廃棄物ポリシーを導入し、48%がコンプライアンスの確保を担当する役職を設置した
- ・日本の回答者の81%が「COVID-19はテクノロジーへの不必要な短期投資を引き起こし、データが様々なデバイスに保存されるリスクを残すことになる」という記述に同意した
- ・日本企業の40%が使用済みデバイス管理のための電子廃棄物ポリシーがあるにもかかわらず、周知も実施もされていないと回答した
- ・日本企業の43%が、自社の電子廃棄物ポリシーが周知されなかった理由は、誰もそれを主導的に管理していなかったからだと回答した
- ・日本企業の94%が、「COVID-19パンデミック中、従業員が使用するすべてのデバイスの適切な保管と廃棄の徹底を真剣に考える必要がある」という記述に同意した
- ・日本企業の68%が、電子廃棄物ポリシーを周知する最善の方法について「不明」と回答した
- ・日本企業の36%が、使用済み機器の物理的な破壊を実施しており、それが環境に良いと思われたからだと回答した
- ・リモートワークに必要なくなったら、新しく購入したデバイスはどうなるのかという質問に対する日本企業の回答結果
- ■29% ノートパソコンのデータを消去して社内で再利用する
- ■27% 再販するためにデータを消去する
- ■12% データを消去してリサイクルする
- ■11% ITADに送る
このように、電子廃棄物の課題やリスクは認識しているものの、対処方法を把握していないと回答している企業が多数であることが分かりました。主な要因としては、コンプライアンスに関するオーナーシップの欠如が挙げられるとBLTGは分析しています。
調査結果より、リモートワークの拡大はサステナビリティとデータセキュリティの双方を後退させていることがわかりました。
電子廃棄物処理に対する取り組みのポイント
このような状況を打開していくためには、どのように電子廃棄物処理に取り組めばよいでしょうか。2つのポイントをご紹介します。
1.リモートワークに関する規定に電子廃棄物処理を再規定し、再度社内で共有する
リモートワーク導入の際、多くの企業が社内規定を改訂したと思いますが、そこに電子廃棄物処理についての項目の有無や新しい環境に対応しているかを確認しましょう。リモートワーク用のノートパソコンが必要なくなった際、個人での処理を許可してしまうと、情報漏えいの危険性が高くなってしまいます。購入から処理に至るまでのフローを明確にし、社内で周知徹底をします。必ず実行させるためには、管轄の部署と責任者(リーダー)を決めることが重要です。
2.サステナビリティの観点から、データ消去と再利用を徹底する
先の調査結果にもあったように、日本企業の36%が使用済み機器の物理的な破壊を実施しています。しかしこの方法は、多くの廃材を生み出し環境への負担が大きすぎると言わざるを得ません。また、適切に破壊できていなければデータにアクセスされ情報漏えいにつながる危険性も。サステナブルな方法は、機器内の情報を徹底的に抹消し、機器を再利用することです。機器を廃棄する際には、社内で確実に抹消することは難しいため、信頼できる委託サービスを探し出すことがポイントと言えるでしょう。
おすすめの電子廃棄物処理サービス
電子廃棄物処理に対する取り組みのポイントがわかっても、実際に実行に移すとなると容易なことではありません。そんなときは、外部に委託することも一つの手です。ここでは、日本パープルの電子廃棄物処理サービスをご紹介します。
ポイント①安全・確実なデータ抹消処理
デバイスを部品ごとに分解し、記憶媒体をピンポイントで抹消処理します。
輸送や保管庫においてもハイレベルのセキュリティ対策を行っています。
ポイント②証明書の発行
機密抹消を行ったエビデンスとして(本体・HDD、SSDシリアルNo.)を内容証明書に記載し、提出します。
ポイント③資源リサイクル
部品に含まれる金・銀・コバルトなどの金属物質はリサイクルを行い、環境に貢献しています。
電子廃棄物処理の委託先にお悩みの方は、一度相談してみてはいかがでしょうか。
電子廃棄物への対応を見直し、会社を安全に守ろう
電子廃棄物への適切な対応は、情報漏洩を回避するだけでなく環境貢献や健全な会社経営にもつながります。リモートワークで社員の働き方が変わったように、電子デバイスに関する規定も同様に更新が必要ではないでしょうか。
【参照】日本パープルの電子廃棄物処理サービス:https://www.mamoru-kun.com/cancellation/pc/