【2022年最新版】法定保存文書の保存期間まとめ
法律で保存期間が定められている文書は、法定保存文書と呼ばれます。2022年1月に施行された「改正電子帳簿保存法」のポイントも踏まえ、本記事では最新の法定保存文書の保存期間について解説します。
法定保存文書とは?
法定保存文書とは、法律によって保存することが義務付けられている文書を指します。まず、保存を義務付けている法律にはどんなものがあるのかを見てみましょう。
- 経理・税務関係の法律・・・商法、法人税法、消費税法、会社法など
- 人事・労務関係の法律・・・労働基準法、雇用保険法、健康保険法など
また、このほか医師法、食品衛生法、建設業法なども文書保存を義務付けています。
法定保存文書はこれらの法律によって保存期間が定められています。ただし、定められている保存期間はあくまで最低限の保存期間であり、実際に何年保存するかは会社で決定する必要があります。
代表的な帳簿の保存期間
それでは、代表的な帳簿の保存期間の例を見ていきましょう。ここでは、業務内容ごとにまとめています。
1. 経理
経理・税務関係に関する保存期間の一例は以下の通りです。
10年保存 | 賃借対照表、損益計算書、株式申込簿など |
7年保存 | 仕訳帳、固定資産台帳、棚卸表、領収書、請求書、契約書、賃金台帳、源泉徴収簿など |
5年保存 | 退職等に関する通知書、監査報告、会計監査報告、会計参与報告など |
2. 人事
人事・労務関係に関する保存期間の一例は以下の通りです。
7年保存 | じん肺健康診断記録、粉じんの濃度測定記録測定など |
5年保存 | 従業員の身元保証書、誓約書などの文書、労働組合との協定書など |
4年保存 | 労働保険に関する書類、労働保険の徴収・納付等の関係書類、派遣元管理台帳、派遣先管理台帳、雇用保険の被保険者に関する書類など |
2年保存 | 雇用保険に関する書類、健康保険・厚生年金保険に関する書類など |
3. 総務
総務関係に関する保存期間の一例は以下の通りです。
永年保存 | 定款、株主名簿、官公署への提出文書、官公署からの許可証・認可証、社報など(いずれも保存義務はないが、文書の性格上、永年保存が望ましい |
30年保存 | 特別管理物質の製造や取扱作業場で常時作業に従事する労働者に関する作業概要等の定期記録など |
10年保存 | 労働保険に関する書類、労働保険の徴収・納付等の関係書類、派遣元管理台帳、派遣先管理台帳など |
5年保存 | 株主総会議事録、取締役会議事録、重要会議議事録、満期または解約となった契約書、製品の製造・加工・出荷・販売の記録など |
3年保存 | 四半期報告書、官公署関係の簡易な認可・出願などの文書、一般の社内会議記録、業務日報、什器・備品台帳など |
また、同じ文書でも法律によって保存期間が違う場合もあります。業務がどのような法律に関係するのかをよく確認しておきましょう。また、上記をさらに詳しくまとめたホワイトペーパーを本記事下部にご用意しておりますので、ぜひご活用ください。2年保存~永年保存まで、業務によって文書を保存する期間が異なっています。
日本パープルの電子化サービス
今回の電子帳簿保存法 改正により、電子化へ移行環境がより整備されることになります。そこでこれを機に社内の抜本的な電子化へ舵を切ってはいかがでしょうか。ただ、電子化はすぐに対応ができるものではなく、入念な準備が必要です。そこで、電子化を支援してくれるサービスとして、日本パープルの電子化サービスをご紹介します。
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【無料ダウンロード】文書の保存年限一覧表
本記事の表は保存期間の例を示しています。これらを一元で管理・把握することは容易な作業ではないでしょう。
そこで、下記のホワイトペーパーでは、経理・人事・総務の3つの分野に分けて、法定保存年限を一覧にまとめています。一部の法令に限定せず対象となるものの多くを網羅しており、さらに2022年度最新版の法令に対応しています。
文書管理についてお困りの担当者は一度ダウンロードしてみてはいかがでしょうか。
【参考】改正電子帳簿保存法のポイント
文書の保存年限の再確認と合わせて知っておきたいのが、2022年1月から施行された改正電子帳簿保存法です。これは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により保存することを認めた法律です。
令和3年度税制改正で内容の見直しが行われ、2022年1月から新しい改正法が施行されています。業種に関わらず電子取引を行っているすべての企業・個人事業主が対象となりますので、確認しておきましょう。こちらの記事で詳細を解説していますが、ここではポイントを絞って解説していきます。
1.国税関係帳簿書類の特例の要件緩和
・事前承認制度の廃止
これまで事前承認を必要としていた国税関係帳簿書類の電子保存について、いずれも要件を満たせば承認なしで保存可能となりました。
・タイムスタンプ要件
受領後、受領者がスキャニングの際に自署を行い、3営業日以内に付与する必要があったタイムスタンプが、自署が不要となり最長2ヵ月以内まで延長されました。
・データの検索性
複雑化していた検索要件が「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目だけに絞られました。
2. 電子取引データの保存義務化
今回の改正で特に注目されているのは、電子データの保存方法です。これまで電子データは印刷して紙での保存が可能でしたが、これが不可となりました。反対に、紙で受け取った書類をスキャニングして電子データとして保存することについては申請不要になり、企業の電子化を促進する内容になっています。
3. 罰則の強化
様々な要件が緩和されている一方で、罰則の規定は強化されています。
例えば、所得税・法人税又は消費税にまつわる電子データの改ざん・隠ぺいなどが発覚した場合に課せられる重加算税は10%加算されることになりました。さらに、電子取引の保存要件を満たしていない場合は青色申告の承認が取り消される可能性もあり、企業はこれまで以上に正確な対応が求められます。
法定保存文書の管理におけるキーワードは「最新」と「電子化」
今回は法定保存文書の管理方法について整理しました。部署によって関わる法律や保存期間は様々で、それぞれ適切に管理される必要があります。そのためには、常に最新の法律を把握し対応しておくことが肝となります。まずは、今回ご紹介したホワイトペーパーを活用して、今一度自社の文書管理が最適かどうか確認してみてはいかがでしょうか。
また、昨今の文書管理においては「電子化」もひとつのキーワードになっています。先に触れた改正電子帳簿保存法でもペーパーレス化を促進する内容となっており、文書を電子化することへのメリットが高まっています。法定保存文書の管理方法と電子化は同時に検討するのが望ましいといえるでしょう。