会社の書類の保管方法は?流れや書類保管の効率化のポイントを解説
ビジネスシーンにおいて、様々な書類を作成する機会があります。書類には保管期間が定められており、効率の良い保管が重要になります。書類の管理に初めて携わる方にとっては、慣れない部分も多いと思います。
この記事では、会社の書類の保管方法について、一連の流れや効率的に保管するためのポイントなどを解説します。
会社の書類の保管とは
会社の書類には、法律で保管期間が定められている物があります。
根拠となっている法律には、会社法や税法などがあります。保管期間は数年から、永久に保管が必要な場合もあります。
近年は書類の電子化が進み、電子化して保管する企業も増加傾向にあります。電子帳簿保存法施行規則第3条第1項では、訂正や削除履歴の確保や、検索機能の確保など、保管におけるルールが定められています。
書類によって保管期間は異なる
保管期間は、書類によって異なります
大きく分けると、1年~5年、5年~10年、永久に保管が必要、の3タイプがあります。以下で、保存期間が定められている書類を、期間ごとに確認していきましょう。
永久保管が必要な書類
会社にとって非常に重要な書類は、永久保管が必要になるケースが多いです。
例えば、会社のルールを定めた定款や、会社の設立や各種許諾に関する書類などが該当します。
他には、以下のような書類が永久保管が必要とされています。
- ・財産や権利に関する書類
- ・効力の永続する契約書
- ・社内報などの重要な刊行物
上記の書類は重要度が高いため、紛失すると会社の信用問題に関わる可能性があります。
トラブルを防ぐためにも、確実に保管することが求められます。
5年~10年間の保管が必要な書類
10年間の保管が必要な書類は、会社の経営に関する物がメインで、会社法によって規定されていることが多いです。
具体的には、株主総会議事録や取締役会議事録、監査役会議事録や監査等委員会議事録などがあります。
他には、以下の書類が10年間の保管が必要とされています。
- ・指名委員会議事録
- ・会計帳簿類
- ・会計帳簿の付属書類
- ・製品の製造、加工、出荷、販売の記録
7年間の保管が必要な書類は、決算に関する内容であることが多いです。
法人税法施行規則、所得税法施行規則、法人税法施行令などで定められています。
例えば、取引に関する帳簿類、請求措、領収書、見積書、有価証券の取引に関する書類などがあります。
他には、以下の書類が7年間の保管が必要とされています。
- ・電子取引の取引情報にかかる電磁的記録
- ・給与所得者の扶養控除等申告書、保険料控除申告書
- ・源泉徴収票
- ・消費税の関係する取引の帳簿とその請求書
- ・粉じん濃度測定記録
- ・じん肺健康診断記録
貸借対照表や損益計算書も決算に関する書類ですが、これらの書類は10年の保管が義務付けられています。
1年~5年間の保管が必要な書類
1年~5年間の保管が必要な書類には、従業員の給与や健康に関すること、企業の資本調達に関する書類などがあります。
会社法、金融商品取引法、労働安全衛生規則などで定められています。
5年間の保管が必要な書類の例としては、以下の書類があります。
- ・監査報告
- ・会計監査報告
- ・事業報告
- ・有価証券届出書、有価証券報告書
- ・産業医の面接や指導の結果
- ・各種健康診断個人票
- ・ストレスチェックの結果
- ・産業廃棄物管理票の写し
- ・産業廃棄物処理の委託契約書
- ・従業員の身分保証書、誓約書
4年間の保管が必要な書類として代表的なのは、雇用保険の被保険者に関する書類です。
雇用保険法施行規則で定められています。
3年間の保管が必要な書類の例としては、以下の書類があります。
- ・労働者名簿
- ・四半期、半期の報告書
- ・災害補償に関する書類
- ・派遣元管理台帳、派遣先管理台帳
- ・年次有給休暇管理庁
- ・労災保険に関する書類
- ・労働保険料の徴収、納付に関する書類
- ・安全委員会議事録
2年間の保管が必要な書類の例としては、健康保険、厚生年金保険、雇用保険に関する書類などがあります。
1年間の保管が必要な書類で代表的な書類は、臨時報告書、自己株券買付状況報告書などです。
保管期間が過ぎた書類について
保管期間が過ぎた書類は、なるべく早めに処分するようにしましょう。
処分方法としては、シュレッダーで細かくするのが一般的です。他には、専門業者に依頼するといった方法もあります。
マイナンバーが記載されている書類の場合は、保管期間が過ぎたら速やかに廃棄する必要があります。マイナンバーが記載された書類の廃棄に関しては、政府のガイドラインに詳細が記載されています。
書類保管の基本的な流れ
書類保管の基本的な流れは、以下の通りです。
- ・書類の整理・分類
- ・書類の保管場所の選定
- ・書類の保管期間の設定
- ・書類の保管
- ・書類の廃棄処分
以下で、ステップごとに詳しく解説します。
書類の整理・分類
どの書類を保管するか、整理や分類を行う所からスタートします。
紙の書類の場合は、保管期間を過ぎているかどうかをチェックし、過ぎていた場合は廃棄するようにしましょう。
保管期間ごとに仕分けを行い、発行日順に整理しておきましょう。発行日順に並べておくと、廃棄可能な書類を見つけやすくなります。
書類の保管場所の選定
書類の保管場所としては、なるべくまとめて保管できる場所を選ぶ必要があります。
取り出しやすくすることも大切ですが、重要な書類の場合は、セキュリティ面での課題が生じます。重要な書類は、その書類が必要な人だけが取り出せるような方法で保管する、といった対策も必要になります。
アクセス管理・セキュリティの確認
保管されている書類は、必要な人物が必要な時にアクセスできるようにすることが重要です。
書類が保管されている部屋には、鍵をかけておく必要があります。鍵の使用に関しては、鍵管理台帳などを使用することで、書類の紛失や破損などを防ぐことにつながります。
書類の保管期間の設定
保管する書類には、いつまで保管するのか具体的に記載するようにしましょう。
「〇年〇月〇日まで」などの記載をしておくと、分かりやすくなります。期日を明記することで、保管期間中に誤って廃棄するといったリスクを減少させることができます。
書類の保管
書類を保管する際は、ファイルに収納して、書籍のように背表紙が見えるように保管すると便利です。
背表紙が見えると、取り出す前にどのような書類か確認することができます。書類の収納には、本棚やキャビネットなどを活用すると良いでしょう。年度ごとにまとめる、内容が同じ書類でまとめる、といった方法も業務の効率化につながります。
書類の廃棄処分
保管期間が過ぎた書類は、シュレッダーなどで廃棄処分を行います。
書類に書かれている内容が把握できないくらいのレベルまで、処分する必要があります。
廃棄処分をする際は、保管期間が過ぎているかどうか、事前にしっかりと確認しましょう。
書類保管でよくある課題
書類の保管においては、以下の課題が挙げられます。
- ・書類整理にかかる時間
- ・書類の検索にかかる時間
- ・保管作業の属人化
以下で、それぞれの課題について見ていきましょう。
書類整理にかかる時間
業務を行う中で、毎日のように書類は増え続けます。
書類整理を行う頻度が少ない場合は、書類整理を行う度に書類の多さに悩まされることになります。可能な限り毎日書類整理を行い、書類をためないようにすることが重要です。
書類の検索にかかる時間
書類が増え続けると、ファイリングしたとしても書類の検索に時間がかかる可能性があります。
ファイルの中身が誤って入れ替わってしまい、書類の所在が分からなくなってしまった、というケースも珍しくありません。
保管作業の属人化
保管作業は日々行われる業務のため、担当者が固定されやすくなります。
担当者が固定されると、その担当者が不在になった場合、他の従業員は保管を行うことができない、といったリスクが生じます。
保管作業の属人化を防ぐために、様々な対策が必要になります。
書類保管を効率化のポイント
書類保管を効率化させるためのポイントは、以下の3つです。
- ・ワークフローの自動化
- ・文書管理システムの導入
- ・外部保管サービスの活用
以下で、それぞれのポイントについて確認しましょう。
ワークフローの自動化
ワークフローを自動化することで、情報漏洩のリスクを低減させることができます。
また、自動化することで属人化を防ぐこともできます。一元化することで、書類の検索も行いやすくなります。
文書管理システムの導入
文書管理システムを導入することで、書類の作成から保管まで、一括で行うことができます。
システム導入によりフローが分かりやすくなり、社内全体で共有しやすくなります。
外部保管サービスの活用
保管場所やセキュリティなどの問題から、会社で保管するのが難しいケースもあります。
外部の書類保管サービスを活用すれば、専用の倉庫で保管してもらえるため、非常に便利です。
上記のサービスを活用することで、保管業務を効率化することができます。
書類保管サービスを利用するメリット
書類保管サービスを利用するメリットは、以下の3つです。
- ・セキュリティ面
- ・検索・管理がしやすい
- ・保管期間後に廃棄ができる
以下で、それぞれのメリットについて見ていきましょう。
セキュリティ面
会社での保管は、セキュリティ面での問題が生じる可能性があります。
書類保管サービスは、専用の倉庫で保管し、監視カメラによる入退室管理なども行われています。
セキュリティ対策が充実しているので、安心して保管することができます。
検索・管理がしやすい
文書保管システムでは、保管されている書類の所有者や内容、保管期限といった情報をWebシステムに登録できます。
そのため、書類の検索や管理を簡単に行うことができます。
保管期間後に廃棄ができる
サービスによっては、保管期間が過ぎた書類を廃棄してくれます。
利用を検討しているサービスが廃棄を行ってくれるかどうかは、事前に確認しておきましょう。
まとめ
会社の書類を保管する場合は、書類の整理、保管場所や保管期間の設定、廃棄などを行う必要があります。社内で書類の保管を行う場合は、書類整理や検索にかかる時間、属人化など様々な課題に直面します。書類保管サービスを活用することで、書類保管における課題を解決することができます。業務の効率化のために、書類保管サービスのご利用を検討してみてはいかがでしょうか。
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