2025年3月6日お役立ち情報

契約書の保管期間はいつまで?保管方法や期間について解説

様々なビジネスシーンにおいて、契約書を作成する機会があります。契約書には保管期間が定められているものがあり、法律によって期間が異なります。書類の破棄の適切なタイミングを知るためにも、保管期間に対する知識は重要です。この記事では、契約書の保管期間、保管方法、保管のポイントなどについて解説します。

契約書の保管期間

契約書の保管が義務となっている場合、法律によって保管期間が異なります。
以下で、法律ごとに保管期間の違いをチェックしましょう。

会社法は10年

会社法では、「事業に関する重要な資料」の保管を義務付けており、契約書も当資料に該当します。
会社法432条2項では、事業に関する重要な資料の保管期間は、10年と定められています。

法人税法は7年

法人税法126条では、税務関係の帳簿や契約書の保管義務を定めています。
法人税法施行規則59条では、税務関係の帳簿や契約書の保管期間を、7年と定めています。
施行規則における保管期間は7年ですが、青色申告書を提出した事業年度で欠損金額が生じた事業年度に関しては、保管期間が10年となります。また、青色申告書を提出しなかった事業年度に限りますが、災害損失欠損金額が生じた事業年度に関しても、保管期間が10年となります。

契約書以外の書類の保管期間

契約書以外にも、法律で保管期間が定められている書類があります。
以下で、期間ごとに詳しく見ていきましょう。

保管期間が3〜5年の書類

保管期間が3年の書類には労災保険に関する書類があり、労働者災害補償保険法施行規則51条で定められています。
保管期間が4年の書類には、雇用保険の被保険者に関する書類があり、雇用保険法施行規則143条1項で定められています。
保管期間が5年の書類は2種類あります。1つ目は株式会社の事業報告で、会社法442条1項で定められています。2つ目は有価証券届出書とその添付書類で、金融商品取引法25条2項で定められています。

保管期間が10年の書類

保管期間が10年となっている書類は、3つあります。
1つ目は株主総会議事録で、会社法318条2項で定められています。
2つ目は株式会社の会計帳簿・事業に関する重要書類で、同じく会社法432条2項で定められています。
3つ目は建築会社の営業に関する図書で、建築業法施行規則28条で定められています。建築会社の営業に関する図書には、完成図、発注者との打ち合わせ記録、施工体系図などがあります。

保管期間が15年の書類

保管期間が15年となっている書類には、建築士事務所の業務に関する図書があります。
建築士法施行規則の、21条5項で定められています。
平成19年6月19日までは保管期間が5年でしたが、同年6月20日からは15年に延長されました。大幅な延長がされた背景には平成17年の耐震偽装事件があり、同様の偽装事件を防止するための対策となっています。

永久保管が望ましい書類

法律上の定めはありませんが、永久保管が望ましいとされている書類はあります。
例えば知的財産権に関する書類、社内規則に関する書類などは、永久保存が望ましいとされています。

契約書の保管方法

契約書の保管方法には、以下の方法があります。

  • ・紙での保管
  • ・PDFでの保管
  • ・マクロフィルムでの保管
  • ・電子契約書での保管
  • ・外部機関での保管

それぞれの方法や注意点について、以下で詳しく解説します。

紙での保管

契約書を原本、あるいは紙のコピーを取って保管しておく方法です。
最もメジャーな方法ですが、保管場所が必要になるので、場所は常にある程度余裕を保っておく必要があります。また、保管期間が長くなれば、紙の劣化を避けられなくなります。
量が増えると特定の契約書を探すのが難しくなり、電子データと違って他者との共有がしにくくなります。紛失のリスクが高くなる、というのもデメリットです。

PDFでの保管

スキャナーなどを使用して、契約書をPDFに変換して保管するという方法もあります。
データ化することで、保管場所を大幅に節約することができます。また、検索や閲覧が容易になり、共有もスムーズに行うことができます。
一方で、スキャンには手間がかかり、管理体制やセキュリティ対策についても考える必要があります。また、紙での保存が法律上必須となっている書類もあるので、PDFだけでの保存が不可能な場合もあります。

マクロフィルムでの保管

マイクロフィルムは、書類を小さなサイズに縮小してフィルムに記録できる媒体です。
契約書を撮影して、マイクロフィルムに記録して保管することもできます。マイクロフィルムは耐用年数が長く、100~500年はもつとされています。保管スペースを節約することができますし、書類の改ざん防止にもつながります。
マイクロフィルムの作成や読み取りには専用の機器が必要なので、機器の準備にはコストがかかります。また、温度や湿度の変化の影響を受けやすいので、保管環境には注意が必要です。

電子契約書での保管

電子契約を契約書の締結に導入すれば、電子契約書として保管することが可能です。
紙の契約書が必要なく、電子データの契約書で契約を結ぶので、紙の書類を保管・管理する手間を省くことができます。
ただし、取引先が電子契約書に関して合意しているかどうかは、事前に確認が必要です。あらゆる場面で電子化が進んでいますが、全ての会社で電子化が行われているとは限りません。

外部機関での保管

書類の保管や管理を専門的に行っている会社もあるので、そういった外部機関で保管してもらうという方法もあります。
セキュリティ対策において、自社で保管するよりも外部のサービスを使う方が有効な場合もあります。ただし、コストがかかることは避けられないので、利用する前にどれくらいかかるか見積もりを出しておくことをおすすめします。

保管期間を過ぎた契約書の破棄について

保管期間を過ぎた契約書は、破棄する必要があります。
契約書には機密情報が含まれている場合が多いので、そういった情報の漏洩を防ぐために、完全に破棄することが重要です。

破棄の方法としては、シュレッダーを使う、溶解処理業者に依頼するといった方法があります。
シュレッダーは、目の細かいタイプを使用するようにしましょう。目が粗いタイプだと、破棄しても復元される可能性があるので注意が必要です。

溶解処理業者に依頼すると、確実に復元不可能な状態で破棄してくれるので、シュレッダーよりも気密性が高いと言えるでしょう。ただし、業者を選ぶ際は「溶解処理証明書」を発行してくれるなど、信頼できる業者を選ぶようにしましょう。

契約書の破棄のタイミングを誤った場合

契約書の破棄のタイミングを誤ってしまった場合、どうすればいいのでしょうか。
保管期間内に破棄してしまった場合と、保管期間を過ぎても破棄しなかった場合の、2パターンに分けて解説します。

保管期間内に契約書を破棄した場合

保管期間内に契約書を破棄してしまった場合は、罰則が科される可能性があります。
保存義務に違反した場合は、法人税の追徴課税が科される可能性があるため、注意が必要です。
故意的な破棄だけではなく、誤って破棄してしまった場合も含まれるので、保管期間についてはしっかりと把握しておくことが重要です。

保管期間を過ぎて破棄しなかった場合

保管期間を過ぎて契約書を破棄しなかった場合、それ自体に罰則が科されることはありません。
ただし例外的に、罰則があるケースもあります。マイナンバーが記載されている書類は、保管期間が過ぎたら速やかに処分しなければいけないと内閣府で定められています。

罰則が無いとしても、破棄しないと書類が次々に増えていくため、管理に支障が出る可能性があります。管理が難しくなると、紛失による機密情報の漏洩などのリスクが高まります。情報漏洩は、会社の信用問題に大きく関わってくる部分です。

保管期間が過ぎたら、なるべく早い段階で破棄したほうが良いでしょう。社内で、破棄するタイミングを事前に決めておくと、スムーズに破棄を行うことができます。

契約書の保管に関する悩み

契約書の保管に関しては、以下の悩みがよくあげられます。

  • ・契約日の更新日の管理
  • ・破棄すべき契約書の把握
  • ・契約書の紛失防止対策
  • ・契約書を探す手間

それぞれの悩みについて、以下で詳しく見ていきましょう。

契約書の更新日の管理

どのようにして契約書の更新日の管理を行うかは、大きな課題です。
契約書の更新日を把握していないと、更新対応を失念したり、自動更新に任せて放置したりすることもあります。契約書の更新を怠ると、必要なタイミングで必要な取引ができなくなる可能性があります。
また、自動更新のストップする際は適切なタイミングで行わないと、支払う必要が無かった利用料を払い続ける可能性があります。

破棄すべき契約書の把握

契約書は保管期間を過ぎたら破棄しますが、契約書の保管期間をどのように把握するかも課題です。
破棄しないままでいると、過去の書類が次々に増えてしまい、保管スペースを確保するのが難しくなります。
管理台帳に契約終了日を記載するなどして、破棄のタイミングを分かりやすくしておく必要があります。

契約書の紛失防止対策

紙の契約書の場合、契約書の紛失防止対策をどうするかも重要です。
契約書の閲覧場所を限定したり、外部への持ち出しを禁止するなど、社内でルールを決めることは対策の一つになります。しかし、ルールを守っていても「うっかり」紛失してしまう可能性は十分に考えられます。
全ての契約書に対して行うのは難しいかも知れませんが、可能な限りPDFや電子データによる契約書に切り替えれば、リスクを減らすことができます。

契約書を探す手間

紙の契約書の場合、探すのに手間がかかるという問題もあります。
保管場所かどの部屋なのか、あるいはどの部署なのか、といった点を把握しておく必要があります。
契約書保管システムなどを利用すると、探す手間を解消することにつながります。契約書保管システムに関しては、後ほど解説します。

契約書の保管のポイント

契約書の保管において、知っておきたいポイントは以下の通りです。

  • ・エクセル台帳で管理
  • ・会社全体で一括管理
  • ・契約書保管システムの導入

それぞれのポイントについて、以下で詳しく解説します。

エクセルの台帳で管理

契約書管理台帳を、エクセルで作成することができます。
契約書の名前と、契約開始日、終了日、自動更新の有無、自動更新がある場合は更新日などの情報をエクセルに入力します。
管理台帳があれば契約書の情報の一覧を確認できるので、検索もしやすくなります。ただし、契約書の一部の情報までしか確認できず、契約書全体を閲覧することはできません。

会社全体で一括管理

契約書は社内の様々な部署に存在しており、各部署で管理しているケースも多いです。
各部署での管理体制が確立していれば問題ありませんが、管理が複雑になると適切な管理ができなくなる可能性もあります。
契約書などの書類を管理する部署を社内に設置して、一括で管理すると効率的な管理を行うことができます。

契約書保管システムの導入

契約書保管システムを利用すると、契約書の管理を効率的に行うことができます。
様々な便利な機能が搭載されており、その中の一つに、「更新期日の自動リマインド機能」があります。更新期日が近づくと、更新に関する通知が担当者に自動的に送信される、という機能です。
セキュリティ対策が充実しているシステムも多く、効率的に、なおかつ安全に管理したい場合はおすすめです。
システム導入のためのコストがかかるので、事前に見積もりをすることが重要です。

まとめ

契約書の保管期間は5〜10年、契約書以外だと3年から永久保存まであります。契約書ごとの保管期間をチェックして、破棄のタイミングも把握しておくことが重要です。保管方法は紙媒体が主流ですが、保管場所の節約や紛失の防止の観点から、PDFや電子契約書を利用するのもおすすめです。また、コストはかかりますが、効率的な管理を行いたい場合は契約書保管システムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。
この記事を、自社での契約書の保管や管理の参考にして頂けたら幸いです。
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