2021年11月17日お役立ち情報
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【2022年1月開始】改正電子帳簿保存法、主な3つの改正ポイントとは

令和3年度税制改正では電子帳簿保存法の見直しが行われました。2022年1月にこの改正が施行される予定です。今回の改正は、業種に関わらず電子取引を行っているすべての企業・個人事業主が対象となります。本記事では改正のポイントと対策方法について解説します。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは、国税に関する帳簿や書類(国税関連帳簿書類)を電磁的記録(電子データ)等により保存することを認めた法律です。情報化社会に適応し経理処理の負担軽減を促進するため、1998年に施行されました。要件も多く、当初は適用している企業も多くありませんでしたが、定期的な見直し・緩和を経て、近年導入する企業が増えています。

改正の概要

今回の改正は2022年1月1日より施行されます。改正ポイントは大きく分けて3つ。それぞれ詳しく見ていきましょう。

1. 国税関係帳簿書類の特例の要件緩和

①事前承認制度の廃止

これまでは制度運用の3ヵ月前までに所轄税務署に「承認申請書」「事務手続きの概要」を申請する必要がありましたが、改正法では要件を満たせばすぐに電子保存が可能になりました。※2022年1月1日以降に申請する分が対象。

②タイムスタンプ要件

請求書や領収書等の国税関係帳簿書類について、受領者がスキャニングの際に自署を行い3営業日以内にタイムスタンプを付与する必要がありましたが、改正後は自署が不要となり、さらにタイムスタンプの付与期間が最長約2か月までとなりました。さらに、修正や削除の履歴を確認できる会計システムを使うなどすればタイムスタンプ自体も不要となります。

③データの検索性

現行法では細かな項目や条件でデータを検索できるようにする必要がありましたが、改正後は、検索要件が「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3項目だけに絞られ、大きく緩和されました。

2. 電子取引データの保存義務化

現在の電子帳簿保存法では、原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類について、一定の要件を満たした場合に電子データによる保存を可能とすること、及び電子的に授受した取引情報の保存義務等が定められています。今回の改正では、紙及び電子データの保存方法が変更になります。

書類の保存方法現法改正後
メール等の電子で受け取った書類電子保存 〇
紙での保存 〇
電子保存 〇
紙での保存 ×
郵送等により紙で受け取った書類電子保存 申請すれば〇
紙での保存 〇
電子保存 〇申請不要
紙での保存 〇

今回の改正で注目されているのは、電子データの紙での代替保存が不可になった点です。これまでは電子データがあった場合も紙に印刷して一元管理していたという企業も、今後はそれができなくなります。反対に、紙で受け取った書類をスキャニングして電子データとして保存することついては申請不要になるため、電子データによる一元管理が容易になります。

3. 罰則の強化

今回の改正で様々な要件が緩和されていますが、同時に罰則の規定は強化されています。

具体的には、電子データに関して隠ぺい又は仮装により所得税・法人税又は消費税に係る修正申告又は更正があった場合は重加算税が10%加算されることに。さらに電子取引の保存要件を満たしていない場合は青色申告の承認が取り消される可能性もあります。青色申告承認取り消しは企業にとっては相当のダメージとなります。

改正に合わせたペーパーレス化への移行ポイント

電子取引データの保存義務化により、ペーパーレス化はますます加速すると考えられます。ここでは、ペーパーレスを推進する上でのポイントを2つご紹介します。

電子帳簿保存法の要件充足

改正法に適用するためには、様々な側面から要件を充足する必要があります。特に、システム面での要件充足は慎重に検討しなければならなりませんが、会計ソフト購入の際は公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(以下、JIIMA)の認証を受けているかどうかを参考にすることも一つの方法です。

JIIMAでは、認証基準に基づきスキャナ保存製品が電子帳簿保存法および電子帳簿保存法関連の施行規則、通達に定められる機能を有することを製品のマニュアルのみで評価し認証しており、認証された製品を使用することで多くの負担を軽減することが可能です。

業務効率化・電子化の視点

今回の法改正に合わせて電子化・ペーパーレス化がより一層進むことは明白です。しかし、経理や電子データはどの部署に関わるもの。新たなシステムの導入やルール変更などを考慮すると対応に時間を要することになるかもしれません。

まずはペーパーレス化により期待できる業務効率内容を明確にし、具体的な行動に落とし込んだうえで着手を検討しましょう。社内で担当者や責任者を立て、プロジェクトとして進めることが合理的な流れと言えます。

法改正をきっかけに電子化移行の検討を

今回の法改正により、国税関連帳簿書類の電子化が進むことは明らかです。同書類は量においてはボリュームが大きいものの、この機会に企業全体としての電子化への移行を検討することも、経営基盤強化に向けて有効な手立てとなるでしょう。

日本パープルの電子化サービス

電子化においてはさまざまな課題があります。電子化する際の作業の煩雑さ・電子化後の「検索性」「一覧性」「共有性」の担保、廃棄できない原本管理や廃棄期限が到来した廃棄処理などです。これらの課題に全て対処するおすすめのサービスが、日本パープルの電子化サービスです。

電子化に向けた支援や電子化後の納品もシステムやハードデバイスなどを選択できるなど、電子化を考え始めた直後からその後のフォローまで一気通貫でサービスを展開しています。最新のセキュリティを備えた専用保管庫を活用するなど、セキュリティにおいても安心して利用できるサービスとして評価されているようです。この機会に利用を検討しても良いかもしれません。

2022年の施行に向け、早急な判断を

今回の法改正により、データを電子保存するハードルは低くなりました。さらにペーパーレス化は、コスト削減や担当者の負担軽減などメリットもあります。しかしその一方で、実際にどのように導入すべきか保存方法に悩む企業も少なくはないでしょう。今後も電子化やペーパーレス化は進んでいくと予想される中、企業には適切かつ早急な対応が求められます。今回の法改正を機に包括的な電子化への移行を検討してみても良いでしょう。

 

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