2022年1月14日文書管理
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「ペーパーレス化」は「労働生産性」上昇の起爆剤|電子化はアフターコロナのキーワード

「ペーパーレス化」は「労働生産性」上昇の起爆剤

デジタル時代に不可欠な「ペーパーレス化」。企業の業務効率を上げるばかりでなく、<労働人口の激減>という日本の将来の課題をも解決し、「労働生産性」上昇をもたらす起爆剤になる、と専門家は期待しています。 「労働生産性」とは、労働者一人当たりで生み出せる成果、あるいは労働者が1時間で生み出す成果を指標化したもので、実質GDPを就業者数で割った数値で表されます。

日本の「労働生産性」を世界基準と比べてみましょう。日本生産性本部の「労働生産性の国際比較 」調査(2019年)によれば、日本での1時間当たりの「労働生産性」(就業1時間当たりの付加価値)は、OECD加盟国37カ国中、26位のランクです。このランクの低さは驚くことに、約30年前の1988年と同じ水準でした。主要先進7カ国でみると、1970年以降、何と50年連続で最下位をキープしてしまっています! さらに1人当たりの「労働生産性」(就業者1人当たりの付加価値)も、26位にランク。これはOECDに加盟する37カ国の中で、最も低い順位です。

今後、人口減少や少子高齢化で労働力自体が減少していくことが確実、と言われている日本。1人あたりの「労働生産性」を高めていかない限り、国力を維持することが危ぶまれる事態にもなりかねません。

なぜ日本の「労働生産性」は上昇しないのか

頻繁に長時間労働やストレスで過労死する人のニュースが報じられたり、通勤のラッシュアワーやサービス残業が問題視されるほど、日本人は必死に働いている印象があります。にもかかわらず、「労働生産性」が世界と比べて際立って低いのは何故でしょうか。

その理由はマクロの視点では、バブルが崩壊したあと、内需拡大による消費中心の経済にシフトできなかった国策のせい、と言われています。企業目線で見ると、3点、理由があります。1点目は日本企業では付加価値を生み出す力が弱いことです。付加価値とは、投入した労働力に対して、どれだけ金額的な価値を新たに生み出せるか、という意味です。2点目は一つの仕事に携わる社員数が多いこと、3点目はデジタルでなく、依然として紙書類中心の非能率的な作業をするなど、仕事に時間をかけすぎていることです。

同じモノづくりの国、ドイツと比べると差は明らか

日本とドイツは同じモノづくり大国としてよく比べられますが、 G7諸国の「労働生産性」で2位のドイツは、21位の日本を大きく引き離しています。ドイツのビジネスパースンは残業を良しとせず、年間労働時間は日本のそれよりも平均350時間短く、上司が残業を強要すると罰金や禁錮刑などの罰則が科せられるほど、無駄な労働時間を排除する意識を持っています。その上、個人の生活を尊重し、労働を生活の糧、と割り切る文化です。日本のビジネスパースンのように上司への忖度や過剰サービスのために長時間労働をする思惑は全くありません。逆に言うと、ドイツ人は効率至上主義で、最小の労働で最大の成果を生むことが得意、と言えます。

日本企業が間違いなく直面する「2025年問題」

最近よく耳にする「2025年問題」とは何なのでしょうか。 「2025年問題」とは団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年前後で引き起こされるだろう様々な問題を総称しています。現在の出生数の3倍以上もの数のベビーブームに生まれた、いわゆる団塊世代(1947-49年生まれ)約800万人が75歳以上の後期高齢者になる年が、2025年なのです。この世代が後期高齢者に加わると、総人口1億2257万人のうち、高齢者の人口が18.4%の2,180万人に達してしまいます。

もう少し先の2050年になると、人口比率はどうなるのでしょう。日本の人口は2008年をピークに減少し、2000年の総人口を100 とした場合、2050年の 推定人口値は83まで減少する と予測されています。世界主要国と比較しても、日本は最も人口減少が急速に進む国で、2050年の高齢化率は何と37.7%にも到達するという予想が。この、世界主要国の中でもトップクラスの高齢化率は、裏を返せば日本は近い未来に労働力を確保できなくなる、ということとイコールと言えます。


その兆候は現在でも表れており、帝国データバンクによる調査(2021年4月)によれば、37.2%の企業で”正社員が不足”という自覚を持っています。

人手不足問題の解決は「労働生産性」上昇がキモ


経済学者たちは、この人手不足問題を解決するフックとなるのは「労働生産性」の向上だ、と述べています。理論はこうです。

労働人口が減少する、とは労働の量が減ることである。労働量(インプット)が減少しても経済的な豊かさ(アウトプット)を保つためには、量以外の部分でインプットを補強しなくてはならない。すなわち、労働の「質」を向上させることで、「量」の減少分を補っていこう、とする考え方です。

具体的な取り組みみとして、デジタル化やICT(情報処理技術)の活用、テレワークなどの働き方改革の実施に至るわけです。「労働生産性」を質的に上げることで、中長期的に経済成長率は伸びる、とも彼らは言っています。結果、国民1人当たりのGDPも増えて、生活は豊かになる。社会保障制度を継続できる可能性が生まれ、少子高齢化による人口減へのバッファーにも成りうるだろう、と予測しているのです。

「労働生産性」を上げるステップ1。無駄な業務を洗い出す

「労働生産性」は、労働集約や長時間労働で上昇できるものではなく、質的なアプローチが必要、と言われています。総人口の18%もの人が高齢者となる2025年を前にして、企業の私たちに今からできることはどんなことでしょうか。順番を追って具体的に見ていきましょう。

まずは日ごろの業務を見直して、無駄な作業を洗い出すところから始めるのが得策です。人の手と紙に頼りがちな煩雑な事務をピックアップして、リスト化しましょう。業務を可視化することが、次の「電子化」やクラウドシステムへデータを移行させる下準備となります。

「労働生産性」を上げるステップ2。書類の「電子化」で業務時間を半分に!

次にすべきは、紙書類を「電子化」し、デジタルで共有していく取り組みです。

総務省は<業務・システム最適化計画>の中で、行政機関は管理書類の「電子化」により、年間延べ1万時間を業務時間を削減できると試算しています。企業においては、ビジネス書類の「電子化」により、1社あたりの業務が10万時間から5万時間に半減すると算出。併せて「e-文書法」や「電子帳簿保存法」の法整備により、タイムスタンプやeシールなどの公的認定制を設けることで、積極的に電子書類でのビジネスに移行していくことを推奨しています。

「労働生産性」を上げるステップ3。 「アウトソーシング」という選択肢も考えよう

「アウトソーシング」とは専門業者に業務委託することです。会計事務所や弁護士事務所に頼むことも、ある意味、「アウトソーシング」です。「アウトソーシング」する理由は専門的で難しいから、もしくは的に手が足りないというケースのいずれか、あるいは両方のケースがあるでしょう。会計やリーガル案件の仕事では、プロを社内で育てるには膨大な時間とコストがかかりすぎてしまう社内事情もあります。

今後迎える人手不足への一解決策として有効なのが、「アウトソーシング」する、という選択肢です。極端な話、専門性が高くなくても、社内で対応できるものでも、外へ出せる仕事は極力、出していく。いかに社員を使わない構図にしていくか。この考え方に踏み切ることが人手不足を打開するソリューションとして考えられます。コストが気になる、という方もいるかもしれません。安心してください。「アウトソーシング」は概して、低コストです。理由は、その仕事を専門的に行っているからです。仕事に特化したスキルとノウハウを持ち、もっとも効率の良いシステムを構築して、低料金で多くの仕事を受注する、という薄利多売方式が一般的なのです。

かつての一人の社員を生涯かけて一人前に育てる時代は去り、スキルある社員を100人備えた専門業者に委託する時代を迎えています。書類の「電子化」」を「アウトソーシング」することでコア業務の効率を上げ、大幅な経費削減を実現すれば、「アウトソーシング」費用をしっかりカバーできます。浮いたコストを新事業を行うためのネットワーク整備など他の分野に投資すれば、ビジネスの範囲も広がります。「アウトソーシング」は人手不足を回避する策であるばかりか、新たな利益、ビジネスチャンスを生む可能性を秘めた選択肢、と言えるでしょう。

事業存続にかかわるバイタルレコードの「電子化」なら、日本パープルへ

日本企業には、来る労働力減少への対応に加え、地震をはじめとする自然災害発生や新型コロナウィルスなどパンデミック時への対応を準備しておくことが求められます。事業継続のための機密書類を日ごろから整備しておくことはリスクマネジメント上、大変重要です。JIIMA(日本書類情報マネジメント協会)が定義する「バイタルレコード」とは、情報資産の中でも、<組織の存続に関わる書類や代替情報が他に求められない書類>のこと。一般的には設計図・見取図、品質管理資料など復旧・代替生産等に必要な書類、統制・法令遵守・説明責任確保の書類、権利義務・債権債務書類が該当しますが、災害後の時間経過により、日常業務へ復帰のための知財書類、法廷保存書類なども加わります。

機密書類取り扱いのパイオニアで50年の実績を持つ日本パープルなら、事業継続のための貴重なバイタルレコードを安心して預けられます。機密書類に関して、回収からバイタルレコードの選別、「電子化」、保管、抹消にいたるまでの全工程が一元管理できるようになるまで、伴走してもらえます。

保管場所は、日本パープルの保管庫であれば、耐震性能ほかISMSの要求事項を徹底反映した堅固な施設により、安全性が担保されます。保管の仕方についても、紙書類と電子書類の両パターンを採用。たとえばサーバーに浸水したり電源が入らない懸念のある水害対策用には、紙形式で高い位置での倉庫保管をおすすめしたり、道路損壊や物流停止となる大規模災害に備え、電子書類のクラウド管理をおすすめしたり、という具合です。社ごとのニーズやシチュエーション別に、柔軟なアドバイスとサービスが提供されます。

日本パープルのBCP対策の詳細は、こちらをご参照ください。
「BCP対策における書類管理のポイントとは?」:https://www.mamoru-kun.com/tips/bcp-document-management/

 

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