「文書管理ができていない」状態を、時間やお金に置き換えて考えてみた
皆さんの企業では、きちんと書類を管理できていますか?
文書管理ができていないと、ただ見た目が汚く印象が悪いだけでなく、実は企業にとって大きな損失になってしまいます。
企業にとって大きな損失になるというのは、「頭では分かったつもりになっていても、あまり実感が湧かない」という方もいるでしょう。それもそのはず。「文書管理ができていない」状態を、時間やお金に置き換えて考えたことがないからです。
そこで今回は、「文書管理ができていない状態」が時間やお金に換算したときにどれだけ損失なのかを理解するために、ある実験をしてみました。
大量の文書の中から目的のものを見つけるのに、どれだけ時間がかかる?
行う実験の内容はいたって簡単。
バラバラになった大量の紙の中から、目的の書類を見つけるためにどれだけの時間がかかるのかを計測するというものです。
大量に積み重なった文書。紙を比較的よく使う企業にいる方にとっては、これくらいの量の紙は見慣れているはずです。大量の文書の中から今回探し出す資料はこちら。
分かりやすいように赤のマジックで「これ!!!」と記入したのですが、少し目立ちすぎたでしょうか。もしかすると簡単に見つけられてしまうのでは…?という不安がよぎります。実験をするにあたって、今回はIT企業の2年目社員であるW君に協力をお願いしました。
それでは、実験スタート!
真剣に書類とにらめっこするW君。しかし、無造作に積み重なった書類の中から、目的物を見つけるのは一筋縄ではいかないようです。徐々に顔色が険しくなっていきました。
はじめは適当に紙をめくっていたW君でしたが、偶然見つけることを諦めたようです。1枚1枚書類を丁寧にめくり始めました。そうでもしないと、大量の文書の中から目的のものを見つけ出せないと感じたのでしょう。その後しばらく格闘は続き…
ついに発見しました!書類を1枚1枚めくるという地道な作業から開放された安堵感からか、心から喜んでいる様子が伺えます。一体どれだけの時間がかかったのでしょうか。ストップウォッチを見てみましょう。
「4分5秒」
かなりリアルな数字が出たのではないでしょうか。皆さんも仕事をする中で、何かを探すために4.5分程度時間をかけた経験はあるかと思います。では、この時間、果たしてどれだけの損出があるのでしょうか。
「4分5秒」という数字が企業にとってどのくらいの損失なのか
会社にとって、上の状態がどれほど大きな損出なのかを分かりやすく示すために、下のような仮定をしました。
<仮定>
①1日100人使う共有のキャビネットが、大量の紙で溢れかえっている
②従業員の平均年収は420万円とする(1日8時間労働で土日が休みだとすると、時給約2188円)
③目的の書類を探し出すのに、平均4分かかる
④従業員は給料の3倍の利益をあげている
まずは、文書が入ったキャビネットを1日100人使うという①の仮定から、1年間で何人が使うのかを計算します。1ヶ月に出勤日数が20日あるとすると、
100(人)×20(日)×12(ヶ月)=24000(人)
これだけの人数が1年間にキャビネットを利用することになります。
続いては、②と③の仮定から、文書を探し出すのにかかる4分という時間が、社員の給料に換算するといくら分なのかを算出します。
時給2188(円)÷60(分)×4(分)≒146(円)
たった146円という感じがするのではなでいしょうか。では、この数字と④の数字を組み合わせて、会社にとってはいくらぶんの利益を生むはずの時間だったかを計算します。
146(円)×3=438(円)
1人が4分間文書を探すと、企業にとって438円の損失になることが分かりました。それでは最後です。1日100人が使うキャビネットで1年間これが起こり続けたら、企業にとって一体いくらの損失になるのでしょうか。
438(円)×24000(人)=10512000(円)
なんと、計算上は1年間で1000万円以上の損失になってしまいました。このように考えてみると、文書管理がきちんとできていないというだけで、膨大な損失になっていることがお分かりいただけたでしょうか。
もちろんこれは、「文書管理ができていない」状態を時間とお金に分かりやすく置き換えるために行った仮定ですので、正確性はないでしょう。ですが、文書管理ができていないキャビネットを利用する人が多ければ多いほど、企業の不利益が膨れ上がるというイメージは伝わったのではないでしょうか。小さなことのように見えて、文書管理できていない状態は意外と深刻なのです。
文書管理は小さな取り組みが大きな成果を生む領域
特に社員みんなが使うようなキャビネットにある文書の保管をするときには、どこに何があるのかをきちんと可視化させ、誰が見ても分かる状態にしておくようにしましょう。
今回は文書管理ができていないと…というネガティブな文脈で説明してきましたが、裏を返せば、現状で文書管理ができていない企業が、少し管理を丁寧にするだけで、生産性は向上するということなのです。
この実験を見て文書管理をきちんとする必要があると感じた方は、「【保存版】文書管理の“いろは”を徹底的に網羅したまとめ」を参考にしてみてください。文書管理に関する内容が包括的にまとまっているので、皆さんの知りたい情報がきっと見つかるはずです。