【労働者名簿の書類保管期間はいつまで?】法定保存文書の種類別・保存期限まとめ
会社で扱う文書の中には法律で保存を義務付けられている文書があります。こうした文書は法定保存文書、もしくは法定年限書類と呼ばれます。今回はそんな「書類保管期間を正しく知って管理すべき文書」について解説します。
法定保存文書ってどんなもの?
法律によって文書を保存することが義務付けられている法定保存文書。まず、保存を義務付けている法律にはどんなものがあるのかを見てみましょう。
- 経理、税務関係の法律……商法、法人税法、消費税法など
- 人事、労務関係の法律……労働基準法、雇用保険法、健康保険法、厚生年金保険法など
- 総務関係の法律……会社法、金融商品取引法など
また、このほか医師法、食品衛生法、建設業法なども文書保存を義務付けています。
法定保存文書はこれらの法律によって保存期間が定められています。ただし、定められた保存期間はあくまで最低限の保存期間を示したものなので、実際に何年保存するかは会社で決める必要があります。
また、賃金台帳は労働基準法では3年、国税通則法では7年など、同じ文書でも法律によって保存期間が違うことがあるので注意が必要です。業務がどのような法律に関係するのかをよく確認しておきましょう。
また、いわゆる「e-文書法」(電子文書法)に基づき、一定の要件を満たせば紙ではなく電磁的方法を使ったデジタルデータで保存することが認められている文書もあります。
永久保存しておくべき主な文書は?
法定保存文書のうち、永久保存しておくべきとされる文書の大半は、法律等による保存年限は明記されていません。ただ、文書の性格上、永久保存が必要と考えられているものです。代表的なものは下記のとおりです。
- 定款(ていかん)……法人の目的、名称、社員、機関、資産などが書かれた根本規則です
- 株主名簿……会社法の規定により会社設立時に作成が義務付けられている、株主に関する事項を明らかにするための帳簿です
- 官公庁への提出文書……官公庁からの許可書、認可書、通達などの書類です
- 知的所有権に関する書類……特許証、登録証、あるいは特許料や登録料の受領書などです
- 登記、訴訟関係書類……土地の権利、訴訟に関係する書類です
ほかにも社規や社則、重要な契約書、権利や財産に関する文書などが含まれます。
保存期限5年以上10年以下の文書は?
保存期限5年以上10年以下となる文書は以下のとおりです。
- 株主総会議事録……保存期限は10年程度、もしくは永久保存されることもあります。ほかにも取締役会議事録、監査役会議事録などもこれに準じます
- 会計帳簿及び事業に関する重要書類……保存期限は10年。仕訳帳、総勘定元帳、各種補助簿など
- 計算書等……保存期限は10年。貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表など
- 取引に関する帳簿……保存期限は7年。仕訳帳、現金出納帳、固定資産台帳、売掛帳、買掛帳など
- 決算に関する書類……保存期限は7年。棚卸表、貸借対照表、損益計算書等など
- 監査報告書、会計監査報告書……保存期限は5年。監査人による報告書です
ほかにもたくさんあります。経理、税務関係の書類が多いです。
保存期限1年以上5年未満の文書は?
保存期限1年以上5年未満となる文書は以下のとおりです。
- 労働者名簿……保存期限は3年。ほかにも賃金台帳、雇入れ、解雇、退職に関する書類など労働関係の重要書類なども同様です
- 労災保険に関する書類……保存期限は3年。ほかにも労働保険の徴収、納付等の関係書類なども同様です
- 雇用保険、健康保険、厚生年金保険に関する書類……この3つの保険に関する書類は、2年間は保存する必要があるとされています
以上、ここに挙げたものは一部の例です。法定保存文書にはほかにも多くの文書があると認識しておきましょう。また、法的な根拠がなくても会社で独自に保存期間を決めている文書も多くあります。
法定保存文書の扱いで気をつけることは?
法定保存文書は厳重な管理のもとで保存することが必要です。社内の書庫を使用するのであれば当然、セキュリティを万全にしなければなりません。
外部の倉庫保存サービスを利用するのもひとつの手です。専門業者の中にはセキュリティシステムはもちろん、必要なときに文書をすぐに閲覧できるシステムも構築しているところがあります。
また、保存期間を終えた文書の廃棄も安全に行う必要があります。専門業者に依頼して機密文書廃棄を行うのがおすすめです。
法定保存文書は保存から廃棄に至るまで、注意深く管理していくことが求められます。今回の記事を参考に、正しく管理をするようにしてください。