“働き方の多様性”を実現するオフィスづくりを。株式会社シグマクシスに行ってきた
「働き方改革元年」と呼ばれる2017年。
労働人口の減少や長時間労働などの課題に直面し、企業は今変革期を迎えています。
これまでより短い労働時間で事業をスケールさせていくためには、生産性の向上が必須。そのためには、社員が働きやすい環境を整えることが求められます。
今回は、“オフィスで働く”という既成概念を取り除き、社員がいつでも、どこでも、誰とでも働ける環境を実現している、株式会社シグマクシスのオフィスを紹介しましょう。同社のオフィスには、一体どのようなこだわりが隠されているのでしょうか。
シグマクシスってどんな会社?
2008年創業の株式会社シグマクシスの事業内容は、企業価値創造を支援するビジネス・コンサルティング・サービスの提供および事業投資。
お客様とビジネスパートナー、そして同社を、「発注者と受注者」という対峙関係ではなく、成果とリスクを共有する「パートナー」という関係性で結び、コラボレーションで共に価値を創造していくことをビジョンとしています。
従業員数は約450名。とはいえ、お客様やビジネスパートナーと一緒に仕事をすることが多い同社のコンサルタントに、毎日オフィスに出勤するという習慣はありません。
そんな中、同社はどのような考えのもと、オフィス作りをしてきたのでしょうか。
コンセプトは「社員一人ひとりのパフォーマンスの最大化」
オフィスを設計する上で重視したのは「社員一人ひとりのパフォーマンスを最大化する」というコンセプト。
同社では、このコンセプトに沿っていれば、社員は働く場所を自分で決めることができる、と池田さんは語ります。
「集中して働ける環境は、一人ひとり違います。ですから弊社では『オフィスで働かなければならない』という決まりは設けていません。オフィスは、人とのコミュニケーション、コラボレーションにより創造性を発揮する、あるいは効率化を図る場として活用するもの。
裏を返せば、1人だけで完結できる仕事をするときには、無理をしてオフィスに来なくてもいい。自宅でもカフェでも、リモート環境を使うことで働く場所になるからです。社員は、自分にとって一番パフォーマンスの出やすい場所を自分で選択しています。」
<シグマクシスのワークスタイル>
人とコミュニケーションをとって仕事をしたいとき→オフィスワーク
1人で集中して仕事したいとき→リモートワーク
リモートワークを推奨している証として、オフィスの収容人数が全社員数よりも格段に少ないというから驚き。社員がオフィスワークとリモートワークを目的別に使い分けることで、効率的に質の高いアウトプットを実現できるようにしているのです。
続いて、オフィスでのパフォーマンスを最大化するために、どのような工夫がされているのか詳しく見ていきましょう。
“コラボレーション”と“働きやすさ”にこだわったオフィスを覗いてみよう!
同オフィスのこだわりは、大きく分けると「コラボレーションが生まれやすくなっている」「快適に働ける」という2点が挙げられます。それぞれ見ていきましょう。
土足禁止の部屋もある!?コミュニケーションが生まれる仕掛け作り
先程池田さんのお話にもあったように、シグマクシスの社員がオフィスに来る目的は、社員同士の活発なコミュニケーション、コラボレーションを通じて創造性を発揮すること。そのため、オフィスには独特の仕掛けがたくさん隠されています。
こちらは「執務スペース」。一般的な職場の机は四角くなっているものが多いですが、シグマクシスでは丸い机が多く採用されています。そうすることで、社員同士の距離感が縮まり、自然とコミュニケーションが生まれるのです。
席は完全フリーアドレス制で、自由に席を選べるため、部署を超えた交流が生まれるシーンは多々あります。
“かまくら”風の「打ち合わせルーム」。主に、社内のミーティングなどで使われています。
こちらは土足禁止の部屋なので、肩の力を抜いてリラックスしながらディスカッションできるのが良いところ。和やかな空気で始まった議論が、気づくと白熱していることもあるのだそうです。
“三人寄れば文殊の知恵”という慣用句が由来の、「MONJU」と呼ばれるスペース。
予約不要のスペースにすることで、「ミーティングしたいのに、部屋を予約してないから場所がない」という問題を解決しています。囲みの内側はホワイトボードになっているので、ちょっとしたブレスト時にぴったりです。
こちらがオフィスの中心部分となる「マーケット」。ホテルのラウンジを彷彿とさせる落ち着いた空間が広がっています。
人とモノと情報が行きかい、社員がコミュニケーションやコラボレーションをする場。何人かが集まってランチをしたり、ブレイクをしている隣で真剣に打ち合わせをしていたりと、使い方はさまざまです。
「マーケットの階段スペース」は、多目的スペースとして活用されています。
大型スクリーンが昇降する仕組みになっているため、プレゼンテーションを投影したイベントに最適。
たとえばコンサルタントが仕事を通じて得たノウハウを社内共有する「ナレッジシェアリング」、学生向けの会社説明会、スポーツ選手や業界のスペシャリストによる講演会など、さまざまな用途に使われています。
マーケットの壁には「社員が描いた絵」が飾られています。
これは同社の提供する、組織や人財の変革プログラムから生まれる作品たち。このプログラムでは、自分の思いをパステルで描くことで表現し、お互いの作品に対して「こういう風に見える」「自分はこんなつもりで描いたんだ」と鑑賞し合います。
そうすることで、これまで気づかなかった相手の一面、あるいは自分自身の一面が見えてきて、よりオープンな関係に発展させることができるそう。それは、互いの発想や価値観をぶつけあい、新しい発想を生む「コラボレーション」の第一歩なのです。
都会のオフィスで森に癒される!?社員が働きやすくなる細やかな配慮
働きやすさを追求するために、他にもたくさんのこだわりが見られます。
こちらは、軽井沢の森をモチーフにしているという「エントランス」。いかにも“オフィス”という作りではなく、自然の要素を多く取り入れたオフィスにしたいという思いから作られました。
エントランスに入ると、春は桜、夏は軽井沢の森林、秋は紅葉、冬は雪・・・だと寒いので、南の島の映像などを流し、季節感を出しています。ほのかに森の香りも漂うため、リラックス効果も。
社外のお客様をお迎えするときはもちろん、社員がオフィスに戻ってきたときにも、癒しを感じる空間になっているのです。
「新聞・雑誌の最新号」が置いてあるスペース。コンサルタントの情報収集に最適なものを広報部門がピックアップしたり、社員からのリクエストを受けて会社が購読し、共有したりしています。
文房具が一通り置いてあるスペース、「キオスク」。
フリーアドレス制で自分のデスクもキャビネットもない同社では、このスペースに文房具を配備し、社員が必要なものを使って戻す仕組みを導入しています。このため、オフィスのどこでも仕事ができるうえ、無駄もありません。
働きやすさは、働く意欲につながる
リモートワークが徹底されている会社でありながら、これだけの人数の社員がオフィスに出勤していることから、オフィスそのものにも、社員がパフォーマンスを発揮できる工夫が随所に散りばめられていることが分かりました。
これからの働き方を考える上で、オフィス環境を整えることはどのような意義を持つのか、最後に池田さんに伺いました。
「これからの時代、働く人々は男女関係なく育児や介護との両立に直面します。自己成長のために勉強、執筆、講演など仕事以外の活動と両立する人も出て来るでしょう。企業に求められているのは、これまでのような画一的な勤怠マネジメントではなく、一人ひとりの働き方の多様性を認めることだと思うのです。
働きやすい環境を得たこと、ライフワークバランスが取れていること、そうした中でパフォーマンスを最大化できているという充実感は、自然と働く意欲に繋がり、社員と企業がともに成長する力を生み出します。そんな、社員と企業が互いを高め合えるような環境やワークスタイルを、これからも社員皆で追求していきたいですね。」
多様化する働き方に対応する環境を作るためには、以下の2点がポイントになることが分かりました。
・画一的な勤怠マネジメントから脱する
・パフォーマンスを最大化できる仕掛けをつくる
皆さんの会社でも、さまざまな立場の人が働きやすい環境を実現するために、働き方やオフィス環境について今一度考えてみてはいかがでしょうか。