2020年7月29日お役立ち情報

時短ハラスメント(ジタハラ)とは?問題点と対策を紹介

働き方改革やワーク・ライフ・バランスの確保を背景に、時短ハラスメント(ジタハラ)に注目が集まっています。

時短ハラスメントとは、具体的な対策がないままに、部下に残業時間の削減や定時退社を強いるハラスメントをいいます。時短ハラスメントは、法律への抵触や業務上の問題発生につながる可能性があるため注意が必要です。

今回は、時短ハラスメントの問題点や対策について詳しく解説します。

時短ハラスメント(ジタハラ)の原因とは?法的リスクは…


時短ハラスメントが起こる原因のひとつは、間違った方法による働き方改革の推進です。働き方改革では残業時間の削減が求められるため、単純に残業を禁止したり、定時退社を強制したりする結果、時短ハラスメントになっているケースがあります。

残業時間は削減される一方で、成果を求められ、仕事量は減らないケースも多く、従業員のストレス拡大やサービス残業につながる危険性もあるのです。

もちろん、残業時間の削減や長時間労働の是正は重要な課題ですが、時短ハラスメントにより社員の負担が増えてしまっては、働き方改革の意味がありません。

ジタハラの法的リスク

時短ハラスメント自体を取り締まる法律はありません。ただし、時短ハラスメントは、2019年に成立した改正労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)に抵触する可能性があるため注意しましょう。

パワハラ防止法では、上司と部下といった上下関係を背景として、業務上必要な範囲を超えた言動により、身体的、精神的な苦痛を与えた場合にパワハラと認定されます。

たとえば、何の対策も講じず残業禁止の命令を出すと、部下はしかたなく仕事を家に持ち帰るかもしれません。上司が把握できない環境で部下の長時間労働が続いた結果、精神疾患などを患ってしまうとパワハラと認定され、訴訟に発展する可能性があるのです。

生産性を下げる?時短ハラスメント(ジタハラ)による4つの問題点


訴訟までは発展しないとしても、時短ハラスメントによってさまざまな問題が発生する可能性があります。

ここでは、時短ハラスメントによって起きる4つの問題点を紹介しますので、チェックしておきましょう。

1.業務短縮による仕事のクオリティが低下

残業時間を減らしたいからといって、各仕事の重要度や優先度を明確にせず、単純に強制帰宅だけを命じると、重要な工程が省略されてしまったり、納期に間に合わなくなったりする可能性があります。

仕事の質が低下するだけでなく、クライアントへの納品が遅れる、信頼を失ってしまう、という危険性もあります。

2.生産性やモチベーションの低下

時短ハラスメントは、社員の生産性やモチベーションの低下にもつながります。仕事量はそのままで残業時間だけを削減すると、定時までに終わらなかった仕事を持ち帰る社員も増えるでしょう。

自宅で作業するため、本来なら支給されるはずの残業代が支払われません。サービス残業の増加や収入の減少は、社員のモチベーション低下を招いてしまいます。その結果、やる気がなくなり、会社全体の生産性が低下する可能性もあるでしょう。

3.中間管理職の負担が増加

時短ハラスメントによって負担が増えるのは、部下だけではありません。時間内に終わらなかった部下の仕事を上司が肩代わりするケースもあるでしょう

責任感の強い上司ほど多くの仕事を抱え込み、負担が増えてしまうかもしれません。疲れがたまって生産性が低下するだけでなく、うつ状態などにつながることも考えられます。

4.職場環境の悪化による離職率の増加

強制帰宅や強制消灯などの理不尽なルール、仕事の持ち帰りの増加などは、職場の環境を悪化させてしまいます。また、仕事を通してスキルアップしたい社員にとって、時短ハラスメントは成長の機会を奪われる行為です。

よりよい環境で働きたい、もっと成長できる職場で働きたいと考える社員が増えると、離職率の増加につながります。

時短ハラスメント(ジタハラ)を防止する3つの対策


時短ハラスメントによる問題を防止するためには、適切な対策を行う必要があります。ここでは3つの対策を紹介します。

1.労働生産性の向上

労働生産性の向上は、時短ハラスメントを防止する重要な対策です。仕事のクオリティを保ちつつ残業時間を減らすためには、生産性を高めなければなりません。

まずは、各社員の仕事を洗い出す必要があります。そのうえで、無駄な作業や打ち合わせなどを把握し、徹底的に削減していきましょう。マニュアルを整備して単純な業務の教育や引き継ぎをスムーズに行う、といった対策も重要です。

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2.各種ITツールの導入・活用

ITツールの導入や活用も、時短ハラスメントを防止する効果的な方法です。データ入力や書類整理などの時間がかかる単純作業については、業務ツールや文書の電子化サービスを利用して効率的に進めましょう。その分、別の作業に時間を使えるため、生産性の向上や残業時間の短縮につながります。

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3.教育・評価制度の見直し

時短ハラスメントを防止するためには、教育や評価制度の見直しも重要です。中間管理職に対するマネジメント研修を行えば、部下の適正管理へのやる気を引き出し、生産性を向上できるでしょう。ハラスメント研修を開催し、ジタハラの問題点や対策について意識させることも重要です。

また、評価制度を見直して、労働時間管理の項目を追加してもよいでしょう。社員全員の労働時間に対する意識を高めれば、時短ハラスメントの防止や生産性の向上につながります。

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今回は、時短ハラスメントによる問題や対策について解説しました。何の対策もせずに残業禁止の命令をすると、仕事のクオリティが低下する、クライアントの信用を失ってしまう、といった危険性があります。

社員のモチベーションや生産性が低下してしまい、大きな損失につながる可能性もあるため注意が必要です。無駄な作業を洗い出したり、ITツールを活用し、仕事の質を保ちながら残業時間を減らしていきましょう。

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