2015年11月2日コンプライアンス
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退職後の従業員はどうすればいい?知っておきたい「秘密保持義務」の定義と例外規定

企業の従業員には当然、秘密保持義務がありますが、秘密の内容や違反した際の措置を明確にするために、秘密保持契約を締結しておくのが安心です。企業と従業員との間で秘密保持契約を締結するときには、どんな点に気を付けたら良いのかを知っておきましょう。ここでは、秘密保持義務について解説します。

企業で働く従業員には秘密保持義務がある

企業には、顧客情報のほか、営業秘密などの重要な機密情報がたくさん存在します。これらの機密情報が外部に漏えいすれば、企業が業務を行うのに支障が出てしまいますし、企業に対する信頼も低下してしまうでしょう。そのため、これらの機密情報が漏えいすることのないように、企業で働く従業員に対して秘密を保持する義務を課しておく必要があります。

もともと、従業員の秘密保持義務は、雇用契約に基づき、当然に発生するものと考えられていますが、企業で用意される就業規則において、従業員の秘密保持義務を規定するのが一般的です。

個別に秘密保持契約を締結しておく必要性が高くなっている

従業員の秘密保持義務は、雇用契約時のままにしておくと曖昧になってしまいがちです。特に最近はインターネットの普及により、SNSなどを通じて従業員が企業の情報をうっかり漏らしてしまう、といったトラブルも増加してきました。

企業の情報資産を守るために、企業と従業員との間で個別に秘密保持契約を結ぶことを検討すべきでしょう。秘密保持契約を締結すれば、秘密保持義務の内容を明らかにすることができるだけでなく、従業員の意識改革にも役立ちます。

秘密保持義務の対象を明確にして例外規定も入れる

従業員と秘密保持契約を締結する場合には、秘密保持義務の対象となる情報の範囲を明確にした上で、営業秘密を目的外に使用することや、情報のアクセス権限がない者への開示を禁止することになります。

なお、秘密保持義務の対象として規定された情報の中にも、例外となるものがあります。例えば、契約締結時に既に公知であった情報、第三者から秘密保持義務を負うことなく適法かつ正当に入手した情報、開示後に従業員の責めに帰すべき事由なく公知となった情報などは法的保護に値しませんので、いくら経営者が秘密にしておきたいと思っても、秘密保持義務の対象になりません。秘密保持契約の中には、上述した一部の情報については例外である旨の例外規定も含めることになります。

在職中の従業員は当然に秘密保持義務がある

在職中の従業員は、労働契約に基づく付随義務として、使用者の正当な利益を不当に侵害しない義務を負うものと考えられています。秘密保持義務はその一つと言えますので、就業規則の規定や個別の秘密保持契約がなくても、従業員の秘密保持義務は発生します。

従業員が秘密保持義務に違反した場合は、企業は信義誠実の原則違反や就業規則を根拠に損害賠償請求をすることも可能です。ただし、保護すべき秘密に該当するかどうかで争いになった場合、必ず認められるとは限りませんから、秘密保持契約を締結しておく意義は大きくなっています

退職後の従業員とは個別に秘密保持契約を結ぶのが安心

企業で働いていた従業員が、退職後も当然に秘密保持義務を負うかどうかについては、見解が分かれています。従業員の退職後にも秘密保持義務を履行させるために、就業規則であらかじめ規定しておく方法もありますが、退職時に個別で秘密保持契約を締結しておけばさらに安心です。少なくとも、従業員の退職時には、秘密保持に関する誓約書を提出してもらうなどした方が良いでしょう。

なお、退職後の秘密保持義務の期間を無期限と定めると無効になってしまうおそれがありますから、合理的な期間を定めておく必要があります。

秘密保持義務に関するこんな事例も

秘密保持義務に関する問題には、従業員が退職時に顧客名簿を持ち出して競合他社に転職してしまった仕入先のリストが盗まれてしまった…など、さまざまなケースがあります。しかし、秘密保持義務に関する事例は、こういった営業秘密などの企業の情報資産に限らず、次のようなものもあります。

例えば、採用活動で面接官を担当した従業員が、その採用結果をSNSにて不当に開示してしまった事件や、芸能人が店舗を訪れた際に、その情報をSNSでうっかり漏らしてしまった事件が挙げられます。

SNSの普及により、簡単に情報を公開することができるようになっているため、従業員に対して秘密保持義務に関する意識を強く持たせることが、非常に重要になっていることがお分かりでしょう。

現代では、インターネットで情報の共有が簡単にできてしまいますから、いったん漏えいした秘密は、あっという間に世の中に拡散されて削除が困難になってしまいます。企業の情報資産を守るためにも、秘密保持義務について理解を深めておき、秘密保持契約の締結や従業員教育など、事前の対策をしっかりと行っておきましょう。

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