「髪型変えた?」もダメ?社内で起きるパワハラ・セクハラ・マタハラの例
会社の成長を目指すにあたって、大切なことの一つが従業員の働きやすさを守ること。そしてそのためには従業員が精神的な苦痛を感じない環境作りが必要となります。
今回焦点を当てるのは、社内で発生する可能性のあるハラスメント、特にパワハラ、セクハラ、マタハラ。
どこからがハラスメントになってしまうのか、具体的な例を取り上げて紹介します。その境界線を知ることで、防止に役立ててください。
プライベートなことへの深入りも要注意なパワハラ
パワハラとは、パワーハラスメントの略語。ハラスメントの中でも、「権力」や「立場」を利用したものです。平たく言ってしまうと、いわゆる「いじめ」のようなもの。やっている側は間違いを指摘したり、指導しているだけのつもりでも、やり方が過激になれば、パワハラと捉えられてしまうかもしれません。特に注意が必要なのは、叱咤激励のような言動です。例えば、以下のようなものがあります。
〈個人的なことへの介入〉
・「彼氏(彼女)はいるの?まだ結婚しないの?」
・信仰している宗教について聞かれ、それをほかの人にいう
・仕事のミス自体ではなく、個人の人格にまで口を出す
〈無駄な業務の強要・仕事を全く振らない〉
・「俺のお弁当買ってきて。」
・本来は自分の仕事であったものを、ほかの同僚に振る
性質上、上司から部下へのパワハラというのが一般的ですが、同期から同期が成立しないということではありません。また、特定の社員にこうした行為が集中すると、パワハラの危険が高くなります。
ちょっとした褒め言葉もセクハラ?
セクハラは、性的な意味合いを含む差別・言動によって引き起こされるハラスメントのこと。すでに多くの人がこの言葉を社内研修等で耳にしているのではないでしょうか。男性から女性へのセクハラが想像されがちですが、女性から男性、同性への性的な嫌がらせもセクハラと認定されます。例として、以下のような言動があります。
〈相手の容姿について言及する〉
・「あれ、髪型変えた?」
・「〇〇さんは、もっと派手な化粧のほうが似合うよ。」
・「あれ、最近ちょっと太った?」
〈性別を理由にする〉
・「女は職場の花でいいんだ、にこにこしていればいい。」
・「男のくせに、度胸がないわね。」
〈プライベートなことについて質問をする〉
・「結婚はまだしないの?」
・「今度の休日、旦那さんとこどもの予定はどう?」
・「貯金いくらぐらいあるの?」
このほかに、相手の肩、髪、太ももに触れるなんてもってのほか。一発アウトです。一つの言葉や行動をとっても、男女間では感じ方が違うもの。ちょっとした冗談のつもりや、ほめているつもりでも、相手の意に沿わないこと、つまり嫌だと思う言葉や行動をとってしまっては、ハラスメントになりえます。
職場とは、男女ともに長時間働く空間。だからこそ、一層注意を払わなければなりません。
近年は特にマタハラに敏感
マタハラとは、マタニティーハラスメントの略語で、妊娠・出産・育児に従事していることを理由にした嫌がらせをします。マタニティーという言葉の意味にもあるように、主に女性を対象にしたハラスメントの一つです。
「なでしこ銘柄」に見られるように、近年、国を挙げての女性活用推進によって、一層ホットな話題となっています。それと同時に、社会のマタハラに対する関心、それへの対策はさらに重要度を増しています。では、マタハラにはどのような例があるのでしょうか。
〈妊娠・出産を理由に辞職を迫る〉
・「妊娠したのか。なら、いつ仕事を辞めるの?」
・「出産、育児のために仕事を辞めるのが君のためだよ。」
〈妊娠しているのにも関わらず、無理な労働を強要する〉
・「妊娠は病気じゃないのだから、これまで通り働かなくてはだめだ。」
・「仕事量が減るなら、もう君の居場所はない。」
これまで日本の労働文化として、長時間働いて当たり前、女性は結婚、妊娠したら会社を辞めるもの、という暗黙の了解がありました。このような経緯から、傾向として年配の社員によるマタハラが一般的と想像されます。しかし、実は女性によるマタハラも。例えば、仕事に生きる女性による、自分に子供ができない嫌がらせのようなマタハラが発生することがあります。
結局、受け手の感情が境界線
こう見ると、いったいどこからがハラスメントなのか、その境界線があいまいなことに気づきます。要は、本人の意図とは関係なく、受け手がどう感じるかによって成立するのがハラスメントなのです。やられた側の意に反していたり、不快感を覚えればハラスメントとして認識されてしまいます。
そしてこれは男性に限らず、女性が加害者になることも。そのため、研修として啓蒙活動をする際は、全社的に行う必要があるでしょう。対策としては、相談窓口を設ける、就業規定、労使協定に規則を盛り込むなどがあります。社内で問題の発生が危惧されるのであれば、そのような導入を検討してみるのはいかがでしょうか。