2019年9月11日働き方改革
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スニーカー通勤の導入効果とは?政府の推進理由や事例を紹介‼︎


オフィスカジュアルやクールビズなど、十数年前と比べるとビジネスパーソンのファッションにも変化が見られますが、スーツとビジネスシューズで働く方は今でも数多くいます。しかし近年、従業員の健康増進のため、スニーカーを履いて通勤する「スニーカー通勤」という取り組みが徐々に広がっています。

今回は、なぜスニーカー通勤が広まっているのか、そのメリットや目的、企業が取り入れている事例を紹介します。

行政も推進しているスニーカー通勤とは


革靴やヒールなど、ビジネスシーンで一般的な靴を履かずに通勤する「スニーカー通勤」は、大企業を中心に広まっています。なぜスニーカー通勤が注目されているのでしょうか。その理由のひとつが「健康経営」です。

経済産業省によると、健康経営は以下のように定義されています。

“「健康経営」とは、従業員等の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に実践することです。企業理念に基づき、従業員等への健康投資を行うことは、従業員の活力向上や生産性の向上等の組織の活性化をもたらし、結果的に業績向上や株価向上につながると期待されます。”

引用:健康経営の推進(METI/経済産業省)

それでは、スニーカー通勤は健康経営上、どのようなメリットがあるのでしょうか。ひとつ挙げられるのが「歩数が増える」という点です。歩きにくい革靴やヒールなどに比べ、スニーカーは歩きやすさが重視されているため、歩く回数が自然と増えます。

歩くことは血圧の上昇を抑制したり、ストレスを解消するなど、様々な効果があります。そのため健康経営の観点からみると、スニーカー通勤は効果的な取り組みといえるのです。

福井県庁はスニーカー通勤を認める「スニーカービズ」という日を何日か設けたところ、スニーカービズを実践した日は、1日当たり平均で約1,300歩(約30%)も歩数が増加。県職員の中には、1日平均3,000歩も増加した方もいました。

福井県 福井発「スニーカービズ」運動~スニーカーを履いてプラス1000歩~

政府もスニーカー通勤を推奨しています。スポーツ庁は官民連携プロジェクト『FUN+WALK PROJECT』を2018年から始めました。このプロジェクトの目的はビジネスパーソンのスポーツ参画人口を拡大し、国民の健康増進です。

運動不足を感じつつも、仕事に追われ、運動をする時間の取れない働き盛り世代に対して、歩きやすい服装を推奨するなど、環境を整備しています。スニーカー通勤はプロジェクトの一環として“歩きやすい服装”を推奨する第1弾キャンペーンに盛り込まれました。

FUN+WALK STYLE|FUN+WALK PROJECT【スポーツ庁】

「ハイブリッドビジネスシューズ」でファッションも健康も


政府も推奨している一方で、「スーツに似合うスニーカーが少ない」という声もあります。確かに、カジュアルなファッションを想定しているスニーカーがスーツにマッチしないという面は否めません。また、ベンチャー企業などでは私服での勤務が認められている場合もありますが、ビジネスシーンではスーツでいることが望ましい場合もあります。その悩みに対する解決策が「ハイブリッドシューズ」です。

ハイブリッドシューズとは、見た目がドレスシューズ、ソールがスニーカーになっている靴です。ドレスシューズとスニーカーが混成(ハイブリッド)されているため、快適な履き心地でスーツとの相性を気にせずに利用可能です。女性が履く機会の多いパンプスも、クッション性のある素材が用いられているものがあります。

内勤の日は私服でスニーカー、営業などで外にでる日はスーツにハイブリッドシューズといった使いまわし方も可能なため、企業側はスニーカー通勤を導入しやすくなっているといえます。

スニーカー通勤を奨励している企業事例

スニーカー通勤による効果や、実現にむけた対応策を解説してきましたが、実際に導入している企業があるのか気になる方もいるでしょう。そこで、スニーカー通勤を実施・導入した企業の事例を紹介します。

グループ全体でスニーカー通勤キャンペーン

株式会社NTTドコモは2018年に10月1日から11月30日まで、グループ従業員およびショップスタッフ6万人を対象に、社内ウォーキングキャンペーン「ドコモみんなで歩こう! キャンペーン2018」を実施しました。キャンペーンの施策として、従業員が通勤時にウォーキングを取り入れることを促進する「スニーカー通勤day」を制定。

2020年の秋には販売代理店で働いている店員の靴をスニーカーに切り替える方針を発表し、店員の働きやすさや、利用者への親しみやすい印象を演出しました。それに伴い、店員の制服をカジュアルに改める予定もあるようです。

『NTTドコモの健康経営の取り組みとして約6万人を対象とした社内ウォーキングキャンペーンを実施~スポーツ庁が推進するFUN+WALK PROJECTに賛同しスニーカー通勤を推奨~ 』株式会社NTTドコモ

スニーカー通勤で従業員の健康意識を向上

東京急行電鉄株式会社はスニーカー通勤を推奨する取り組み「Walk Biz(ウォークビズ)」を行っています。健康経営の効果は数字にすることや、目に見えて体感することが難しく、単純に「意識して歩数を増やそう」と言っても、従業員は継続して行えません。しかし、「スニーカーで通勤してOK」という全社的な取り組みにすることで、意識せずとも歩数を増やせます。この取り組みによって、年代に関わらず、カジュアルな靴で働く従業員が増えました。

健康宣言と推進体制|東急電鉄

スニーカー通勤からはじめる健康経営

「働き方改革」という言葉は広まっていますが、「健康経営」は法律等があるわけではないため、取り組みが取り沙汰される機会はあまり多くありません。しかし、従業員の仕事に対するパフォーマンスやモチベーションを向上させるためには、従業員の健康についても十分に考えることが必要になってきます。スニーカー通勤は健康経営を導入する最初の一歩として取り組みやすいため、実施してみてはいかがでしょうか。

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