【無人島でサバイバル!?】斬新な社内研修10選
4月を迎えると、どの企業でも新入社員の研修に追われる時期になります。
社内での研修といえば、ビジネスマナー研修や会社の経営指針・経営方針を学ぶ講座、市場見学などを行うのが一般的。これらの研修は言うまでもなく、今後の業務において大切なことです。
しかし、様々な企業があるのに、どの会社も同じような社内研修を進めていて社内研修は事足りるのでしょうか?せっかくやるなら研修として最大限の効果を出したいものです。
そこで今回は、これが研修!?と疑ってしまうほどユニークな社内研修の事例を紹介します。
1. 日清食品「無人島でサバイバル研修」
インスタントラーメンでお馴染みの日清食品では、若手のエリート社員を対象に無人島で3日間のサバイバル研修を行っています。これからの会社を担っていく彼らの心身を鍛えるのを目的とし、10年以上前から行っているのだとか。
「心身を鍛える」という言葉の通り、無人島に持っていけるのは、チキンラーメン、水、小麦粉、釣り道具、米1合、ビニールシートのみ。さらに現地では単独行動が命じられており、メンタル的にも鍛えられる環境といえます。
3日間ではありますが過酷な状況で生き抜くことで、判断力や想像力、忍耐力など様々な力を養うことができる研修です。
2. イカイグループ「ヒッチハイク研修」
人材派遣を中心にアウトソーシング事業を展開する株式会社イカイでは、新入社員を対象に、ヒッチハイク研修を行っています。
本社から100km離れたスタート地点にて、携帯と財布を没収されるため、頼れるのは体力と交渉力のみ。ヒッチハイクの過程で「成功体験」と「失敗体験」を繰り返すことで、自身の成長へつなげることが狙いのようです。
見ず知らずの人に話しかけながらゴールした瞬間には、大きな達成感を感じることができるでしょう。
3. アップガレージ「漫才研修」
中古自動車・バイク関連の専門店を展開するアップガレージ。この会社の業務に必要なのは何と言ってもセールストーク。そして、そのトークスキルを磨くために導入したのが「漫才研修」です。
「一流のビジネスマンたるもの、一流の芸人であれ」という社長の考えを反映させたこの研修は、参加者が芸能事務所の養成所で指導を受け漫才を考え、社長らの前でネタを披露するという熱の入りよう。参加者の中には、お笑いライブに出演するほどの社員もいるのだとか。
笑いのセンスを磨き、お客様との距離を縮めるトーク術を得ることは、営業のスキルにつながるだけでなく、会社の雰囲気を明るくすることにも繋がりそうです。
4. TDK「竹とんぼ研修」
電子素材や電子デバイスを製造しているTDKでは、竹とんぼ作りを研修で取り入れています。
グラム単位で原価を考慮したうえで、3.5秒の滞空時間を持つ竹とんぼを制限時間内に作ることが求められます。「コスト」、「品質」、「期限」のビジネスに必要な3要素をクリアしなければならないため、新入社員は入社してすぐにビジネス目線で物事を考えるようになるのです。
ものづくりが好きな社員が集まるからこそ、入社したタイミングで、好きなことでビジネスを行うのだという感覚を植えつけることが必要なのだそう。これはものづくりの仕事に留まった話でなく、好きなことを仕事にしようとしている人全員に当てはまることでしょう。そのため、早い段階で、同社のようにビジネス目線で物事を見るスキルを身につけることが求められます。
5. ダイハツ「幼稚園研修」
お客様にファミリー層が多い自動車会社のダイハツでは、新入社員に「幼稚園研修」をさせることで、子どもとのコミュニケーションスキルを磨きます。実際の研修の前には、ミルクの作り方や子どもの扱いを座学で学び、そのうえで研修に挑みます。
研修とはいえ、幼稚園児にとってはひとりの先生。さらに、鋭い感性を持った子どもたち相手のため、新入社員は手を抜く間も無く全力で子どもたちと向き合うのだとか。
日常生活で子どもたちと触れ合う機会を作るのはなかなか難しいです。そのため、直接的なお客様でなくても、来店される方すべての人が心地よく感じられるように、企業がこのように子ども接する機会を作ることも大切といえます。
6. コニカミノルタ「出前授業」
複合機、プリンター、印刷用機器、ヘルスケア用機器などを扱うコニカミノルタで導入している研修では、中学校や高校へ行き出前授業を行います。新入社員がチームに分かれて入社から半年もの長い時間をかけて授業計画を練るというから、その力の入れ方には感心してしまいます。
このような研修を採用したのには、理科離れが進んでいると言われている中で、子どもたちに理科や科学に興味を持ってもらいたいという想いがあったのだそう。参加した新入社員は、授業を完成させるにあたりチームワークやスケジュール管理、物事を伝える能力など様々なスキルを身につけることができるため、中高生や社員にとっても為になる研修です。
7. アンデルセン「小麦畑作り研修」
ベーカリーチェーンのアンデルセンでは、新入社員を対象に2年間の小麦畑作りを実施しています。
広島市内から1時間半離れた場所に、東京ドーム40個分の広さのある農場があり、新入社員はそこで住み込みで荒地の開墾から小麦作り、収穫、製パンまで全てを自分たちで行うのだとか。
もちろん研修中も新入社員には給料が発生するため、会社としては大きなコストを抱えることになります。では、なぜそこまでしてこの研修をとりいれるのでしょうか?
それは、パン作りの大変さを痛感すれば、最後の一個まで残り残らずパンを売ろうという気持ちを持つことができるからだそう。
これから自分たちが商品とするモノの価値を痛感することができる、魅力的な研修です。
8. サントリーグループ「森林整備研修」
サントリーグループでは、約6000人の社員が枝打ちや下草刈、植樹などの森林整備研修を森で行います。
この研修を通して「自然との共生」という企業としての価値観の共有を図り、CMでもお馴染みの「水と生きるサントリー」を目指しているのだそう。
2014年から約3年のプランで実行されたこの研修は、2016年の今年が集大成の年です。今後、長期計画で行った社内研修の成果が出てくるでしょう。
同社のように大きな規模や長期的な期間での研修を始めるのは、コスト面なども考えると勇気がいるかもしれません。しかし、会社の理念を共有するには、効果的な研修です。
9. 株式会社リブセンス「買い物代行サービス」
インターネットメディア運営会社の株式会社リブセンスでは、「Pacirii」という買い物代行サービスのアプリを新入社員のみで運営します。
「Pacirii」とは、商品代金500円ごとに配達料50円で、ユーザーに注文商品を30分以内に届けるサービスです。
一日に何十件もの注文が入り、新入社員のみでの運営が困難になった場合は、アルバイトを雇うこともあり、その判断も彼らに託されています。
「言われたことしかやらない」と言われている若者が、自らの手でゼロからサービスを作り、運用する経験は、その後の業務に良い影響を与えてくれるでしょう。
10. コクヨ中国現地法人「スラムダンク研修」
文房具で有名なコクヨは、会社の中国進出に伴い中国人社員を採用しましたが、日本人との仕事に関する考え方の差に悩まされました。そこで、日本人マインドを教えようと導入したのが、大人気漫画である「スラムダンク」を使った研修です。
漫画のストーリーに沿って、誰がどのように試合を動かしたのか、試合に最も貢献した選手は誰かといった内容から最終的には「チームとはどうあるべきか」を考えさせ、職場のチームワーク力の向上を目指しました。
その結果、アニメのキャラクターを自分に置き換えることでチームの仕事を客観的に見ることができるようになり、業務改善や意識改善に繋がったのだそう。
研修と聞くと堅苦しいイメージがありますが、漫画のようにとっつきやすいモノを研修材料にすると、社員も意欲的に研修に取り組むようになるかもしれません。
ユニークな社内研修で社員の心をつかもう
社員を育てるために大切な社内研修。しかし、その研修の成果が出なければ意味がありません。
今回紹介した数々の社内研修は、その会社にとって必要なスキルをつけるための工夫がなされています。
「社員のスキルを磨く研修がしたい」
「会社の特色を生かした研修がしたい」
と考えている会社人事の方は、今回紹介した社内研修を参考にしてみてください。