残業ゼロで17時帰り!?女性が働きやすい環境をつくった、株式会社ランクアップを訪問
結婚して、子供を産んだら、仕事は続けられない。
「女性の社会進出」という言葉が盛んに叫ばれるようになった現在でも、未だ解決されていないこの課題。育休制度が積極的に活用されつつあるものの、子育てと仕事の両立が難しく、結婚・出産を機に仕事を辞めてしまう人が多くいるのが現状です。
そんな中、「女性が幸せに働ける環境づくり」に多方面から取り組み、成果を上げている企業があります。株式会社ランクアップです。女性が働きやすい環境づくりの秘訣はどこにあるのか、お話を伺いました。
オリジナルブランドのマナラ化粧品を展開!株式会社ランクアップってどんな会社?
株式会社ランクアップは、2005年6月に設立した化粧品会社。「肌の変化を確実に実感できる化粧品」をモットーに、オリジナルブランドであるマナラ化粧品を開発・販売しています。
会社を立ち上げた代表の岩崎裕美子さんは、元広告代理店の営業本部長。残業がとても多い労働環境下で、自身が肌のトラブルに悩まされたことをきっかけに、同社設立に至ったのだそうです。設立後、岩崎さんは社内で初めての出産を経験。こうした自身の経験をもとに、「女性が働きやすい会社」を目指し、数々の施策を導入するようになりました。
現在では、従業員45人中43人が女性で、そのうち約半数がワーキングマザー。岩崎さんの想いが、見事に実を結んでいることが分かります。
生産性向上と育児の支援制度が、女性が働きやすい環境づくりのカギ
女性にとって働きやすい環境をつくるために、同社はどのような取り組みを行っているのでしょうか。
今回お話を聞かせてくださったのは、広報部の島田めぐみさん。お話を伺っていくうちに、次の2つの取り組みが今の環境を実現するカギになっていることが分かりました。
①“17時帰り”を実現させる、生産性向上の取り組み
②細やかな配慮がされた育児支援制度
それぞれ、順を追って紹介していきましょう。
①“17時帰り”を実現させる、生産性向上の取り組み
まずは、残業なしで早帰りすることを可能にする仕組みづくりについて、紹介します。
同社には、早帰りを奨励する「17時で帰っていいよ制度」があります。定時は8時半~17時半ですが、仕事が早く終われば17時に帰れるというもの。これは東日本大震災の際に、社員が少しでも早く帰れるようにと配慮したことがきっかけで生まれました。
終わりの時間をしっかり意識させることで、だらだらせずに集中して業務に取り組むことができるようになったと、島田さんは語ります。
島田:「制度の導入以前は、1~2時間程度残業するのが当たり前でしたが、現在では、多くの社員が定時で帰れるようになりました。定時に帰るという意識を持つことで、生産性の向上につながっていると思います。」
しかし時として、意識の改革だけでは定時帰りを実現するのが難しい状況もあります。常に早く帰れるようにするためには、短時間で効率良く業務をこなす「高い生産性」が必要。同社は、「業務棚卸表」で業務を可視化し、業務内容の見直しを行うようにしているのだそうです。
こちらが「業務棚卸表」。1日の業務内容とかかった時間をすべて書き出し、どの作業にどれだけの時間がかかっているかを見える化させています。そして、書き出した仕事を、「なくす仕事」「アウトソーシングする仕事」「自分がやる仕事」の3つに分類。そうすることで、自分が本当にしなければならない仕事に集中できるようにするのです。
島田:生産性向上への取り組みは、かなり徹底しています。月に1回、社員全員の残業リストを役職者会議で発表して、残業時間に問題がないかを協議。残業が慢性化している社員がいれば、業務の棚卸しをするようにします。実は、私も過去に棚卸表を書いて、「自分の成長に1番遠い」業務をカットしたことがあるんですよ。どこに改善の余地があるのか一目で分かるので、見える化はとても大事だと思います。
他にも、業務時間を短縮させるために、社内資料はワード1枚で余計な装飾をせずに作るという決まりもあるといいます。
このように、生産性を上げるための取り組みを徹底させることが、残業がない企業風土につながっていると言えるでしょう。
②細やかな配慮がされた育児支援制度
残業なしで早く帰れるだけでも、女性にとってはありがたい環境です。しかし同社はもう一歩踏み、「育児」という観点からも他の企業にはない斬新な制度を導入し、ワーキングマザーをサポートしています。今回は、その中でも特徴的な制度を2つ紹介しましょう。
・選べる時間休制度
・病児シッター使い放題制度
1つ目に紹介するのは、「選べる時間休制度」。一般的な企業には、有給休暇は「全休」と「半休」の2パターンしかありません。しかし同社では、有給休暇を時間単位で、2・3・4・5・6時間に分け、休みたい時間に応じて休暇を取得できるようにしています。
働くママにとって、有給休暇はとても貴重。「ちょっとだけ休みたいのに、全休や半休を使うのはもったいない……」ということもあるでしょう。この制度があれば、自分の都合に合わせて効率的に有給休暇を取ることができるのです。
紹介するもう1つの制度は、「病児シッター使い放題制度」。これは、体調の悪い子供の面倒をシッターに任せる際に、シッター代支援をするというものです。本来の利用料は1日約2万円にもかかわらず、1日300円を自己負担するだけで何度も利用できるというから驚き。
この制度は多くのママに積極的に活用されていて、なんと月に1人で20万円分以上も使ったというケースもあるのだそう。残業をなくす取り組みだけでなく、育児を細やかにサポートする制度を整えることで、ワーキングマザーが働きやすい環境を実現しているのです。
体力ではなくアイディアで稼ぐ。女性が働き続けられる会社にするために
こうした取り組みの成果が実を結び、ワーキングマザーが全社員の約半数である同社の3年間での離職者はほぼゼロ。社員は高いモチベーションを持って、働いているのだそうです。
島田:うちの社員はよく、「仕事で会社に恩返しがしたい」と言っています。自然とそういう言葉が出ることって、なかなかありませんよね。会社が行っている取り組みが、社員に届いている証なのだろうなと感じます。長時間労働が当たり前だったり、育児制度がなかったりすると、仕事の世界で体力勝負ができない女性はかなり厳しい。だからこそ、女性の働きやすい環境を整え、体力ではなくアイディアで稼ぐことを会社として大切にしていけたらと思っています。
「女性の社会進出」を本当の意味で実現するために
女性が働きやすい環境を実現している、株式会社ランクアップ。残業削減と育児支援の両方での具体的な取り組みが、成功につながった理由であることが分かります。
離職者が出ないというだけでなく、会社に貢献しようというモチベーションまでも生み出している同社の取り組みは、「女性の社会進出」を本当の意味で実現させるための、お手本なのではないでしょうか。
結婚・出産を機に辞めてしまう女性社員が多くて悩んでいる会社の方は、今回紹介した取り組み内容をぜひ参考にしてみてください。
▼島田さんが中心となって制作を手掛けた、マナラのショートムービー。仕事と育児の両立を応援する本動画は、多くの働く女性の共感を呼ぶ。
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取材協力:株式会社ランクアップ